新型コロナウイルス(COVID-19)が全地球規模で猛威を振るっている。5月6日現在で、世界全体の感染者数は360万人を超え、死亡者総数も25万人を突破した。世界最多の感染者を記録している米国では、罹患者119万人を超え、死者数も7万人を上回るなど収束の気配は見えない。
なかでも最も深刻なのが、都市封鎖されているニューヨーク市だ。人口840万人のうち死者は1万人以上。病院の機能は麻痺し、「医療崩壊」している。多民族都市のニューヨークに住む日本人約5万2000人のなかには、コロナ禍の犠牲になった人がいる。
世界的な航空写真家である徳永克彦氏は、4月に入ってニューヨーク在住の叔父と叔母夫婦の3人を、新型コロナウイルス禍により相次いで失った。前編では、現地に身寄りのない叔父の死後の手続きとその混乱について、徳永氏に話を聞いた。だが、ほぼ時を同じくして、今度は叔母夫婦が亡くなったとの知らせが、徳永氏の元に届く――。(全2回の2回目/前編から続く)
◆◆◆
現在日本に住む私の父は4人弟妹の長男です。その下は女・男・男という順番で、まず末弟の叔父が新型コロナウイルスによる肺炎で、4月8日にニューヨークで亡くなりました。しかし、その死の直後、今度は同じニューヨークに住む叔母(父の妹)とオランダ系米国人の夫も亡くなったのです。
知らせてきたのは私の従兄弟です。彼の父は4人弟妹の次弟で、今も日本に住んでいます。彼によると、まず4月9日に義叔父が亡くなり、その翌日に叔母も他界したということでした。2人の死因は叔父と同じ新型コロナウイルスによる肺炎です。
介護施設に入居していた叔母夫妻
彼らの自宅はクイーンズ地区にあったのですが、叔母が認知症を患ったこともあり、夫婦で老人介護施設に入居していました。寝たきり生活の叔母に義叔父が付き添う形で、老齢ということもありマンハッタンの叔父とは長く行き来が途絶えていたようです。