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サヨナラ勝ちの直後も特守……“首位”ロッテの雰囲気が最高の理由

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/06/28

 サヨナラ勝利の余韻残るグラウンドに選手たちが姿を現した。井口資仁監督やコーチ陣もノックバット片手に姿を見せ、フライキャッチの練習が始まった。6月23日のオリックス・バファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)。サヨナラ負けではなくサヨナラ勝ちである。試合終了から20分程度。気が付けば本格的な守備練習が始まっていた。

今年のマリーンズは“雰囲気”が違う

「ミスをしたから練習をするのではなく、ミスをしないように練習をする。それが本来のあるべき練習の形。福田光輝(内野手)、和田康士朗(外野手)もナイターはあまり経験していないという事だったから、じゃあ試合後に少しやるかあと試合前から決めていた」

 鳥越ヘッドコーチは練習の意図を説明した。ルーキーの福田光輝内野手と育成から6月1日に支配下登録され初の一軍となる和田康士朗外野手がナイター照明の中でのフライを獲る練習のために試合前の時点からゲーム後に行う事が決まっていた。だから劇的なサヨナラ勝ちであろうとも、たとえ負けていても行っていたものではある。

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 ただ、今年のマリーンズが違うと感じたのはその雰囲気だ。やらされての練習ではなく積極的に行う姿勢が見えた。そして若手だけではなく、この試合、6番セカンドでスタメン出場し、レフトスタンドのロッテアイスのクーリッシュのバナーに直撃する本塁打を放った中村奨吾内野手も9番ショートでスタメン出場した藤岡裕大内野手も参加をしたことだった。勝利の余韻に浸ることなく、表情は真剣そのもの。しっかりと準備を行い、来るべき時に備えたいという強い気持ち、充実した想いがグラウンドに充満していた。

©千葉ロッテマリーンズ

「中村奨吾が来たのにはビックリしたね。ああいう雰囲気はいい。いい雰囲気がある。雰囲気作りは大事。オレらも勉強させられるよ」

 率先して異例の試合後特守に参加をした主力選手の姿勢に普段は鬼軍曹として知られる鳥越ヘッドコーチも頬を緩め、頼もしそうに見つめた。

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