猛暑はまだ続いている。野外球場を本拠地にする千葉ロッテマリーンズにとって夏は大きな踏ん張りどころだ。人工芝による太陽の照り返しは強く、体力をどんどん消耗する。しかし今年のマリーンズは一味違う。夏バテ知らずなのだ。これにはもちろん様々な要因がある。その一つに夏バテ防止の食事がある。

栄養士による様々な食事の工夫

 マリーンズは今年から管理栄養士をチームスタッフとして迎え入れ、ホームだけではなく遠征先のホテルの食事も徹底管理している。栄養士による食事管理と聞くと、なにやら鶏肉に野菜ばかりの食事というイメージになりがちだが、決してそうではない。特に夏はしっかりと食事をとることを意識し、様々な工夫をこらした食事を選手たちに提供している。

 8月23日のホークス戦(ZOZOマリンスタジアム)の試合後。食堂にはバナナココアのミックスジュースなるものが並んでいた。これは「試合後に糖質とたんぱく質をすばやく一緒にとることで疲労回復に役立つ」という栄養士の近藤有季さんの考えによるもの。特に大事なのは試合後、すぐに摂取すること。だからあえて飲みやすいジュースにして提供した。そして毎日、同じものを出しても選手が飽きるという配慮から、毎回違う飲み物が提供される。別の日は、はちみつ入りレモンスカッシュだった。ビタミンCとクエン酸が入っているため、これまた疲労回復にピッタリ。あっという間になくなった。

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 ナイターの試合前に提供される食事も工夫をこらす。夏場に関しては「胃腸が疲れているので、消化を助けてくれて栄養もあるネバネバ食材をうまく摂取してもらうことを意識している」と近藤さん。とろろ、オクラ、もずく、めかぶ、山芋などが並ぶ。しかし、ただネバネバ食材を目の前に置いても手を伸ばさない選手はもちろんいる。だから一工夫を忘れない。牛丼ではなく牛とろろ丼。納豆も、納豆巻きにすることで食べやすくなり、選手に好評だった。麺類に入れることもある。

細身の和田選手に栄養指導を行う近藤さん ©梶原紀章

「色々な食材を食べてもらえるように飽きさせないように配慮をするのが大事だと思います。季節の食材を楽しんで欲しい。ただ肉を出すのではなく野菜をしっかりと入れたりと、一つの料理で沢山の栄養をとれるように工夫したいと思っています」(近藤)。