髙木 当初のコンセプトとしては、ロケマスターの千鳥だからこそツッコめるという目線と、実はもう一個、田舎出身の千鳥だからこそ指摘できる田舎の話・旅の補足という、二本柱でVTRを止めてほしかったんです。二人にもそういう話をくださいね、って言ってたんですけど、実際にやってみたら、そんなものよりもツッコミの方が断然面白くて。
――“旅の補足”というのは、番組として「情報を届ける」という意識があって、千鳥にもお願いしていたんでしょうか。
トラブル続きだったロケ現場
髙木 そうですね。視聴率のセオリーから言えば、やっぱり情報があったほうが視聴者層は広がるはずなんです。だから、そこの部分は絶対に必要だと思っていて。でも終わってみたら、いやいや、これは完全に千鳥に寄せたほうが面白いし、他にはない番組になるよね、と。情報なんていまどきスマホで調べればいくらでも出てくるんだから、と、ある意味吹っ切れたというか。
――初回の旅人は菊池桃子さん(旅先は青森県田舎館村)と千原せいじさん(旅先は長崎県五島列島)でしたが、ロケ番組として考えるとありえないトラブル続きでしたよね。
髙木 菊池桃子さんは、なぜか焼きそばばかり食べることになってしまって(笑)。これは狙っていたものではないですし、普通の考え方でいうと、せっかくそういう村にいったのに、また焼きそばかい、これはちょっとやばいな……と、ロケする側としては思うものなんです。でも、それが逆に良くて、面白くなるきっかけをもらえました。
一方のせいじさんも、本当に当日、天候や飛行機のトラブルで交通の便が全部止まってしまって、夜までロケ地に来られなくなって。それで「これ成立してないけど、どうする?」みたいな。実際、現場では頭が混乱してましたね。でも、結果的にはそれも運良く功を奏したという感じで。
若めでギラギラしているディレクターを集めた
――ちなみに『相席食堂』を作っているチームは、もともと何か別の番組で一緒だった人たちが主力になっている、といったことはあるんでしょうか。
髙木 変な話なんですけど、自分が昔からよく知っている人とか、仲が良い人ではなくて、そうした人から紹介してもらったディレクターさんに集まってもらったんです。
――これまで一緒に仕事をしたことがない、面識のない人をあえて集めた、と……。それはどういう狙いからなんでしょうか?
髙木 手練れの人たちが集まると、やっぱり丸くなっていきますよね。そういう番組がやりたいんであればいいんですけど、それよりは、ちょっと若めで、比較的ギラギラしている人のほうがいいかな、と思って。
――それは予定調和ではない番組を作るために?
髙木 例えば、この人むちゃくちゃ優秀なディレクターさんだな、と思っても、その人に頼んだら自分が想像している範囲のVTRしか生まれないだろうな、と。点数でいうと80点から、限りなく100点に近いものはできるんでしょうけど、それは決して150点にはならないというか。なんとなくそんな感覚があったので。