「ちょっと待てぃ!」。その声がスタジオに響き渡るたび、爆笑が生まれる――。千鳥がMCを務める『相席食堂』(朝日放送テレビ)は、関西ローカルの深夜番組でありながら、2018年の放送開始以後、斬新な笑いと熱狂的なファンを生み出し続けている。

 タレントがロケ先で現地の人と「相席」し、そのVTRに千鳥がツッコむ。そんな一見シンプルな番組だが、出演したタレントはみな身を削って貪欲に笑いを取りにいき、千鳥はその一挙手一投足を見逃さず、全身全霊でツッコんでいく。その異常な“熱さ”は、一体どこから生まれているのか?

千鳥がMCを務める『相席食堂』 ©ABCテレビ

 番組を立ち上げた髙木伸也プロデューサー(39)に、現場と演出の舞台裏について聞いた。(全2回の2回目/前編から続く

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――ロケに出る旅人とその旅先については、毎回どんな風に決めているんでしょうか。

髙木 行き当たりばったりとは言いつつ、“当たる”確率を上げる作業はもちろんしています。それこそ会議では、旅人候補の名前がブワーッと出てくるんですけど、「みんなが知っているイメージじゃなく、この人のこういう一面が見れたら面白いよね」というのは一生懸命考えています。逆に、それが出てこない人は、どんなに人気があっても一旦ステイしよう、と。

 一方で旅先候補が先に出るパターンもあって、この町はこんな面白さがあるけど、それを活かすとしたらこの人かな、とか。だから、決して旅人だけで考えているわけではないです。全部組み合わせで、何かすごいことが起きそうな場所と人を選んでる、という感じですね。

「何があっても一生懸命やってください」

――オファーして断られることも結構あるんでしょうか。

髙木 無名の番組だったので、最初の頃はよくありました。あと、実は最近もちょこちょこありますね。もう「怖い」と。確かに芸人さんのハードルがどんどん上がっちゃってる部分はあるので。それとよく言われるのは、実は『相席食堂』みたいに一人でロケすることって、他の番組ではあんまりないということで。自由に旅していいよっていうロケは、タレントさんからすると不安しかないようですね。

――ただ、最近は逆オファーと言いますか、「『相席食堂』に出たい」というタレントさんからの売り込みも増えていますよね。

2月2日(火)に放送される「一夜限りのゴールデンSP」では、M-1ファイナリスト全10組が再集結 ©ABCテレビ

髙木 多いですね。こんなローカルでやっている番組に、そんなことを言ってくれるなんて本当に嬉しいんで、僕らもなんとかしたいんですけど、それでもその人が損する絵しか浮かばないときはやめています。やっぱりツッコむという性質上、旅人さんの粗を探すことが多くなるので、そこには何か温かいものがないといけないとは思ってるんです。そのためにも、旅人さんには「何があっても一生懸命やってください」と言ってます。(力を)抜いてるとか、そういうことでツッコまれると、誰も幸せにならないので。

――髙木さんの中で、ここで一気に『相席食堂』の可能性が広がったな、と感じた回はありますか。