4月11日に放送された『史上空前!! 笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ2020』(TBS系)は、お笑いファンのみならず多くの視聴者を熱くさせる良質な番組だった。芸人同士が一夜限りのユニットを組んでネタを披露してその面白さを競い合う、というのが『ドリームマッチ』の基本コンセプトである。2005年から2014年まで毎年放送されていたこの番組が、6年ぶりに復活を果たした。
この番組の売りは、お笑い界でもトップクラスの実力派芸人が集結するところにある。6年ぶりに満を持して復活しただけあって、今回のメンバーは過去のどの回も凌ぐほどの超豪華な顔ぶれだった。出場したのは、秋山竜次(ロバート)、オードリー、くっきー!(野性爆弾)、サンドウィッチマン、霜降り明星、千鳥、チョコレートプラネット、ナイツ、バイきんぐ、ハライチ、山里亮太(南海キャンディーズ)、渡辺直美の20人。人気、実力、知名度、話題性など、どの観点から見ても文句なしのオールスターが揃っていた。
「嫌な毛量!」優勝した秋山&ノブコンビ
そのメンバーがフィーリングカップル形式で10組のコンビを結成し、順番にネタを披露した。それぞれが持ち味を発揮していたのだが、優勝を果たしたのは秋山とノブのコンビだった。私も10組のネタを見終わった時点で彼らの優勝を確信していた。明らかに頭一つ抜けて面白かったし、ネタのクオリティも高いと思ったからだ。
彼らが演じたのはカメラマンがタレントの撮影を行うという設定のコント。秋山がカメラマンを、ノブは本人役を演じていた。そのカメラマンは、長髪なのに頭頂部は薄いというあまり見たことがないヘアスタイルをしている見るからに怪しげな人物。「嫌な毛量!」というノブのツッコミが鮮やかに決まっていた。
秋山がクセのあるキャラクターを演じて、思いも寄らない角度から次々にボケを繰り出す。ノブはそのひとつひとつに丁寧にツッコミを入れていく。秋山が普段やっているロバートのコントでは、ツッコミ担当の山本博が穏やかな雰囲気なので、ツッコミの存在感がそれほど際立つことがなく、秋山のワンマンショーのように見えやすい。
一方、秋山とノブのコンビでは、迫りくる秋山の強烈なパワーに対して、ノブが力負けしていない。強いボケに強いツッコミが対等に渡り合っている。そこが何よりも刺激的で面白かった。