昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/04/16

なぜロバート秋山はノブを選んだのか?

『ザ・ドリームマッチ2020』でコンビの組み合わせを決める際、秋山に対してはノブを含む4人からの指名があった。残り3人はナイツの土屋伸之、ハライチの澤部佑、バイきんぐの小峠英二という一線級のツッコミばかりだった。だが、その中で秋山はノブを選んだ。普段は山本のような「スタンダードなやつ」と組んでいるため、ガンガン来てくれるタイプのツッコミであるノブを指名したのだという。ノブは見事に彼の期待に応えた。

 秋山が「思春期の顔」と称していかにも思春期っぽい表情を浮かべるというボケを発したのに対して、ノブが「目が文化包丁みたい」という切れのあるツッコミを返したのがこのネタのハイライトだった。

ナイツの土屋伸之、ハライチの澤部佑、バイきんぐの小峠英二にも指名されたロバート秋山だったが、千鳥ノブを選んだ ©AFLO

「ツッコミ1000本ノック」ノブを進化させた“あのM-1王者”

 ツッコミにはさまざまなやり方があり、芸人によってそのスタイルは大きく異なる。かつてのノブは、これといった特徴のないオーソドックスなツッコミをしていた。それは昔の千鳥の漫才の映像を見れば一目瞭然だ。相方の大悟が今とほとんど変わらない調子でボケているのに対して、ノブのツッコミはやや地味で無個性だ。岡山なまりが少し入っているという特徴はあるものの、そこまで目立っているわけでもない。

 ノブのツッコミが進化したきっかけの1つは、笑い飯の2人に鍛えられたことだという。彼らと飲みに行ったとき、ノブは2人が延々とボケてきて、それにツッコむことを求められた。その「ツッコミ1000本ノック」は翌朝まで続いたという。夜が明ける頃、「誰やったっけ?」というボケに対して、疲労困憊したノブが半ばヤケクソ気味に「ノブじゃ!」と返すと、笑い飯の哲夫は「それや」と言った。ノブの見た目や声質に合っているのはそのツッコみ方だということをアドバイスしたのだ。

ツッコミ1000本ノックでノブを鍛えた「笑い飯」。M-1グランプリ2010王者 ©文藝春秋 

 ここから生まれたのが、いまやノブの代名詞となった「嘆きツッコミ」である。岡山弁をベースにした話し方で、懇願するように下から目線でツッコむ。ボケの間違いを訂正する役割であるツッコミはどうしても上から目線になりがちなのだが、それをひっくり返したところが新しかった。