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文春野球コラム

毎打席「生きるか死ぬかよみうりランドか」 巨人・廣岡大志の一発に見た“覚悟”

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/04/16
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「おっ!? おーー、うおおおー!!!!!」

 という、およそ10000人のマスク越しに漏れたどよめき!!

 つい先月、トレードで巨人軍にやって来た未完の若武者が、前年度沢村賞の剛腕サウスポーから放った、ライトスタンドへの美しい放物線。

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 背番号32は弾けるように右手を挙げ、しかし直ぐに自分の成し遂げた事にビックリした様に、ハニカミながら小走りでダイヤモンドを一周した。

 それは、文字通り「値千金」の一打であった。

17時45分開始って早くないですか?

 ってすんません!!! 原稿を書くのが、涙のセカンドゴロ・吉村禎章ばりに久々だったので、ガラにもなくノンフィクションの出来損ないっぽくなりました。

 改めまして。昨年度この文春野球にて不肖ながら巨人の監督を1年間務めさせていただいた、スタイリストの伊賀大介という只の巨人ファンです。

 いやー、堀内政権並みに厳しかった昨シーズン。勝敗以前に、とにかくローテだけは守らねばならん! と頑張りましたが、ソフバン相手の日シリと同じく力及ばずで黒星街道。「原稿のセンスが無い」と、新庄剛志の様にバックレたいと思った夜もありました。が、今となってはスイート・メモリーズ。

 これからは、気軽にプロ野球を100倍楽しもうと思っていた矢先、新監督・菊地選手より「負け逃げは許されない! 大ちゃんシビれる所で行くよ!!」と、まさかのスクランブル登板指令!!

 ビビってたじろぎながらも、意を決して「ワタシはキクチの兵隊だ」と、リングスのロシアの狼、ヴォルク・ハンの言葉を思い出し、恥ずかしながらの帰還を果たした次第です。

 となれば、やっぱりプロ野球ニュースとDAZNだけでは物足りない。

 ここは今シーズン初観戦しかねぇ! と、思った月曜深夜。

 なんとか都合が付くのは明日だけだ。ワンチャンあるか!? と、チケット調べたらドラゴンズ戦のFC指定・一塁側最前列をあっさり入手。

 嬉しくもあるが、前日でコレってコロナ禍での球団経営は大丈夫なのか? なんて余計な心配したりして。

 とにかく明日は巨人、いやさプロ野球が観れるのだ、今日は寝よう。

 因みに最近の寝巻は、ミズノプロコレクションのパーカーだ(流石に着心地良し)。

 火曜。働きつつも心は水道橋方面へ。

 てか、17時45分開始って早くないですか?? たった15分だが、労働者の15分はかくも重い。

 一球速報も見ずにダッシュで駆けつけたが、3回表中日の攻撃。内野陣のボール回し、セカンドの背番号0を見てよっしゃオレの尚輝!!! スタメンでよかったねー、なんて思ってたら増田じゃねえか!!(いや全然増田好き。去年の丸セカンドゴロ~ホーム突入は名シーン!)

 慌ててスコアボードに目を移すと、三番梶谷! ファースト廣岡!! レフト石川慎吾!!という、オープン戦序盤の様なマジカルなオーダー。

 一瞬ファッ!! と思ったが、巨人ファンが辰徳(愛を込めて敬称略)に文句を言ってはいけない。浪人時代に孫子の兵法と三国志演義インストールしてんだから。あのエモやんが認めた男が決めたスタメンに口を出すべきではない。

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