今年の見所は「ヤクルト投手陣対廣岡大志」だ
近年のヤクルトは、「先発投手陣が手薄だ」と言われ続けて久しい。この言葉に対して、もちろんヤクルト投手陣には忸怩たる思いがあるだろう。「何くそ」と闘志がみなぎっていることだろう。だからこそ今年の投手陣は開幕以来、見事な粘り強さを発揮している。
廣岡との交換トレードでやってきた田口は勝ち星にこそ恵まれていないが、早くもチームに溶け込み、きちんと自分の持ち味を発揮している。田口に勝ち星がつくのは時間の問題だろう。さらに、ついに期待のバンデンハーク、サイスニードが登場する。調整不足のためにプロ20年目にして初めて「開幕一軍」の切符を逃した石川雅規も帰ってきた。
コロナ禍により、青木宣親、内川聖一、川端慎吾が不在の中でもチームは勝率5割を死守して、何とか耐え忍んできた。彼らもついに戻ってきた。投手陣が着々と整備されつつある今、ヤクルトの2021年がようやく始まる。2年連続最下位に沈んでいる現状、セ・リーグ覇者の巨人を倒さなければ、浮上の目はない。
とにかく、巨人だけは徹底的に倒さねばならないのだ。その巨人には廣岡大志がいる。彼の潜在能力を考えれば、まだまだ伸びる。もっともっとスター選手になれる。ならば、その手助けをヤクルト投手陣がしてあげればいい。もちろん、徹底的に抑え込むことで。老獪な石川のピッチングで廣岡を翻弄してほしい。交換相手である田口には年俸の格の違いを見せつけてほしい。2年目の奥川恭伸には怖いもの知らずのストレートで廣岡のインコースをズバズバついてほしい。
こうした一流投手たちの意地と気迫のピッチングに対峙したとき、それをどうやって克服するのか? そこに、廣岡の未来がかかっている。彼の将来のためにも、ぜひ一丸となって「打倒・廣岡」の気迫あふれる執念のピッチングを、ヤクルト投手陣には期待したい。
ヤクルト投手陣対廣岡大志――。それが、今シーズンの新たな注目ポイントだ。次回の巨人戦は4月27~29日に神宮球場で行われる。こちらは準備万端だ。廣岡、ぜひスタメン出場を勝ち取って、僕らの前に現れてくれ。神宮球場で、僕らは待っている。オレンジ色の背番号《32》にはまだ慣れないけれど。
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