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物怖じしない土田龍空の魅力

 残念だったのが、僕がすごく期待していた溝脇隼人選手の故障です。6月に昇格したときは結果を残せず、7月の前橋での巨人戦では1番に抜擢されたものの3三振にタイムリーエラーもあって二軍落ちしてしまいましたが、8月に再昇格してからは1試合4安打固め打ちを見せてお立ち台に上がるなど、ブレイクの兆しを見せていました。

 足も速くて、小技もできて、外野の頭上を超える打球を打つパンチ力もある。守備範囲も広くて、本当にいい選手なんですよね。今は溝脇選手本人が一番もどかしいと思います。ケガをしっかり直して、レギュラー獲りに再挑戦してほしいです。

 今は阿部寿樹選手、三ツ俣大樹選手、溝脇選手と二塁を守る選手が3人も故障しています。いわば緊急事態なのですが、ここで大チャンスなのが、開幕から一軍にいる高松渡選手、そしてルーキーの土田龍空選手ですよね!

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“超俊足”の高松選手は2番で起用されることが増えていますが、1番の京田陽太選手とともに、かつてのアライバコンビのように出塁して走りまくることができれば、他球団にとってものすごい恐怖になると思います。

 吉見(一起)さんも「足が速い選手は、投手としてはプレッシャーがかかる。(ドラゴンズの打線の中で)1番打者として投げるのが嫌なのは高松」と言っていました。それぐらい足が速いことは武器なんです。

 バッティングでもきれいにセンター前に弾き返すことができますし、ボテボテの当たりを内野安打にしてしまうのは相手チームにとって脅威でしょう。みんな、当たりを見た瞬間に「あ、これ、セーフじゃね?」って思いますもんね(笑)。8月31日の阪神戦では三塁へのセーフティバントを見せて、マルテのファンブルを誘っていました。この出塁が決勝点につながったんですよね。高松選手の足は、打線がなかなか点を取れないとき、突破口を開く力があると思います。

 守備もレベルアップしてイージーミスも減っているので、ぜひ、このチャンスを生かしてレギュラーの座を掴んだら面白いと思います! 高松選手が2番に定着したら、京田選手から大島洋平選手まで1番から3番までが全員左打者になりますが(笑)、「3人でどれぐらい盗塁してくれるんだろう?」という楽しみができますよね。

辻本達規

 土田龍空選手が一軍に上がってきたのも嬉しかったです! 「いい!」という話もすごく聞きますし、すごく自分の軸を持っている選手だと思います。表情を見ていると、度胸と思い切りを持ち合わせている感じがしますよね。一軍でも物怖じせず、ハツラツとプレーしてくれそうです。これは岡林勇希選手とも共通したイメージです。まだまだ課題はあるようですが、僕は岡林選手も上で見てみたいです!

 ほかにも、二軍でホームランを量産している石垣雅海選手を一軍で見てみたいですし、支配下登録された石岡諒太選手もスケール感があっていいですよね。試合終盤、ビシエド選手をベンチに下げるときの守備要員でもいいので、上で見てみたい選手です。

 1勝でも多く積み重ねなければならないので、なかなか実績のない選手を試すことができないチーム事情はよくわかります。でも、渡辺勝さんのような“発見”があったり、未来につながる選手の活躍が見られたりすると、すごく気持ちが高まるんですよね。

辻本達規

 ペナントレースも残り40試合を切りましたが、試合の展開が許せば、もっと若手選手の出場機会が増えてほしいと思っています。オフに2021年を振り返ったとき、ドラゴンズの“希望の光”が見えたな、というシーズンになっていてほしいですね!

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