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ドラフトの隠し玉は……?

 投手はどうか。真っ先に出てきたのは高校生2人だった。

「やはり小園(健太・市和歌山)と森木(大智・高知)ですね。小園は選抜こそ70%ほどの出来でしたが、夏の和歌山県大会の準決勝はビタビタ。150キロを超えるストレートが低めに集まるのが強みです。剛腕プラス制球力。川上憲伸ですよ。森木は決勝で明徳にうまくやられましたが、それでもプレッシャーの中でよく耐えていた。常時150キロに迫るボールを投げますし、気迫が伝わる投手。フォークを持っているのも大きい。ただ、力むと少し高めに浮きがちです。安楽(智大)に似ています」

 大学、社会人の投手にも目を向けた。

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「隅田(知一郎・西日本工大)は制球力が抜群です。真っ直ぐ、カット、スライダー、チェンジアップと全ての球種でストライクが取れます。早川(隆久)に近いし、引けを取らない。黒原(拓未・関西学院大)も面白いですね。智辯和歌山の時は目立たなかったのですが、大学で伸びました。小柄ですが、スピードで勝負できるパワー系です。森(翔平・三菱重工West)も変わりました。去年までは怖さがあったのか、変化球で躱してばかりでしたが、今年はインコースに真っ直ぐをズバズバ投げるようになりました。非常に成長しています」

 最後に隠し玉を聞いた。

「言えませんよ。言ったら、隠し玉じゃなくなるでしょ」と笑った。指名人数は6人程度の模様。育成選手については「支配下で採ってもいい選手しか行きません。志望届を出すような選手は大学や社会人から引く手あまたです。ドラフトは彼らの人生を左右する。とりあえず指名、ということはあり得ません。あくまで枠の兼ね合いで育成ということです」と力を込めた。

 9月27日にスカウト会議が行われる。そこには監督や球団関係者が加わり、現場からの要望が伝えられる。ドラフト会議は10月11日。スカウトも選手も「人事を尽くして天命を待つ」に違いない。私は「滝に打たれて社内にいる」のみだ。

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