「野球」と言えばプロ野球。高校野球(甲子園)。そしてメジャーリーグ。この3つは野球を知らない人であっても聞き覚えはあるし、よくメディアで報道されていて、常に注目を浴びています。

 では、みなさん突然ですが、今から挙げる元プロ野球選手の共通点をお分かりでしょうか。

 柴原洋さん、大野倫さん、山村路直さん、田上秀則さん、新垣渚さん、馬原孝浩さん、髙橋秀聡さん、島田誠さん、金無英さん。

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 そう、正解は元ホークスの選手……ということだけではないんです。上に記した元ホークス選手の共通点は「福岡六大学野球リーグ」の出身選手であるということです!

 また、現役の福岡六大学野球リーグ出身選手でいうと、広島東洋カープの大瀬良大地選手、島内颯太郎選手、東京ヤクルトスワローズの大村孟選手、久保拓眞選手などが挙げられます。

ホークス選手を多く生み出した「福岡六大学野球」の魅力

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは! 申し遅れましたが、私は福岡よしもとで芸人をやらせていただいております、「とらんじっと」というコンビの「あらた」と申します! よろしくお願いします!

とらんじっと(左が筆者・あらた、右が原直輝)

 私が今回のテーマとさせていただくのは「大学野球」であります! その中でも、今回は「福岡六大学野球」というリーグに焦点を当てていきたいと思います。(以下、福岡六大学野球を「福六」と表記させていただきます)

 ではなぜ、有名な東京六大学野球などではなく、福六なのかというと、私自身が福六の経験者だからです。私は福岡教育大学の硬式野球部のキャプテンでした。さらに大学3年時の2017年の春季リーグ戦で、打率.395をマークし、外野手1位でベストナインに選ばれました。

 そんな福六経験者であり、15年間野球を続けた、福岡イチの野球大好き芸人という自負がある私だからこその目線で、ホークス選手を多く生み出した、普段スポットを浴びる機会が少ない福六の魅力についてお話させていただきたいと思います。

2017年の春季リーグ戦でベストナインを獲得した際の賞状とトロフィー ©とらんじっと・あらた

 そもそも、福岡六大学野球リーグというのは、福岡にある6つの大学から構成されている大学野球のリーグで、九州共立大学、九州産業大学、福岡教育大学、福岡工業大学、日本経済大学、九州工業大学が所属しています。リーグ戦は春と秋の年2回。全国各地の甲子園常連の強豪校から、地方の進学校まで幅広い高校の出身選手が、更に高いレベルを目指して、また、社会人野球、プロ野球に挑戦できるように、技術、精神力を磨きにこの大学野球の世界に飛び込んできます。また、福六の代表校は神宮球場で行われる「全国大学野球選手権大会」でも、上位に食い込むレベルであります。

 そんな福六の魅力の1つ目は、全国にも引けを取らない「投手力の高さ」であります。もちろん、歴代には柴原洋さんや田上秀則さんをはじめ、プロでも活躍された素晴らしい打者を多く輩出してきました。やはり、そんな中でも目を見張るのが投手力の高さです。先ほども申し上げた通り、近年では大瀬良投手をはじめ、福六からプロ野球にドラフト指名される、そのほとんどが投手なのです。毎年のように、主に九州共立大学、九州産業大学の投手たちがプロの道へと進みます。

 野球好きでも目がいかない、地方の大学野球リーグにも関わらず、そのリーグ戦のマウンドに立つ福六の投手は、150キロ超えのストレートに加え、その球をアウトローギリギリに投げ込む制球力、さらに、140キロの見えなくなるフォークを平気な顔でミットに投げ込みます。福六の強い大学にはこのような投手が3~4人いて、常にブルペンで待機しています。

 ほぼプロ野球の投手と言っても過言ではないレベルなので、プロ野球のスカウトも毎試合視察に訪れます。

 僕も実際にこのような投手を相手に4年間打席に立ち続け、その凄さを身をもって体感しました。ストレートは音を立て、伸び上がるようにミットに吸い込まれます。僕が経験した最速は、当時九州産業大学のエースで、現在は日本生命で活躍している草場亮太投手の154キロ。

 バットの芯で捉えても手にはかなりの衝撃が走り、打球は伸びをかきます。それに加え多彩な変化球で幾度となく翻弄されました。

 このような球を弾き返して、なおヒットにする技術は容易なものではありません。なので、打者のレベルは決して低くなく、高い投手力に伴い打者のレベルも上がっていくのです。こうして、リーグ内で「あの投手を打ち崩したい」と各大学が半年かけて練習し、その対決がリーグ戦で実現する。お互いが意識をし合い、さらに福六のレベルが上がっていくという、素晴らしいサイクルが生まれます。