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落合、岡田、平田、金本、今岡、赤星、藤川、鳥谷…阪神タイガースの“次の監督”は誰だ?

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/07/02
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将棋が強い今岡は、岡田タイプの指揮官になれる?

 今季解説にひっぱりだこの鳥谷もそうだ。言葉の選び方にムラがなく、その場の勢いでテキトーなことを言わない。非常に広い視野で、俯瞰的に野球を見ているのは、さすがに「ショフト」を守っていただけのことがある。そしてとにかくカッコいい。周囲が勝手に納得してしまうくらいのカッコよさだ。鳥谷もこのままだとテレビ界が放っておかず、ポジションができてしまうので、阪神球団はなんとしてでも現場に戻るように働きかけつづけなきゃいけない。

 現役晩年には強力なリーダーシップを発揮した藤川球児もまたテレビで活躍する人物だ。ただ、球団に籍を置いていることもあり、近い将来の指導者候補であるのは本人も自覚しているものと思う。ヤクルトの高津監督と同じような道を歩んでくれることを願う。

 そう、2000年代の優勝メンバーには候補がいっぱいいる。いるのだが、現場経験はあったほうがいい。金本前監督のようにコーチ経験なしでいきなり監督になった例もあるが、矢野監督のように二軍監督など現場経験を積むに越したことはない。岡田彰布元監督もそうであったように、ヒラのコーチや二軍監督といった経験を積むことは重要だ。

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 そういう意味では今岡真訪(我々には誠がなじみ深い)は阪神・ロッテでヒラのコーチ、二軍監督、ヘッドコーチを歴任。いつ一軍の監督になってもおかしくないキャリアを積んできた。将棋の腕前はアマチュアの段位を持つほどで、これは岡田と同じ。瞬時の駒さばきには期待が持てる。

外部招へいなら落合だが、それならライバル岡田でも

 もちろん、金本の再登板もあっていい。ただ、ああいう感じの辞め方(辞めさせ方)では現実的には難しいか。それにしても、育成重視というチーム作りの方針をぶち上げ、実現させたことは見事だ。かつての阪神は、生え抜きが数えるほどしかいない寄せ集めのチームだったが、現在はスタメンもベンチも、ほとんどがドラフトで獲得した選手たちが占める。金本は信念で人を動かせるリーダーシップの持ち主だ。ドラフトの巧みさは伝説レベルだけに、GMなど編成面に関わってもらえると本当に心強い。

 個人的には、近い将来に鳥谷監督の長期政権になってくれたらカッコいい(そればっか)と思っている。それを優勝メンバーたちがサポートするような形だったらいいなと思う。その一方、野村克也が耕し、星野仙一が刈り取る様子を見てきただけに、内部人事ばかりでは強くできないとも思う。星野と島野育夫が岡田を育てたように、当代の名監督を招へいし指導者の教育をしてくれたらと思う。それに該当するのは、落合博満ということになるのか。

 しかし、落合であれば、ライバルとして互角の戦いを演じた岡田でいいようにも思う。「岡田学校」で次期監督を養成しつつ、それ以外の候補者も台頭するようなら理想的ではないだろうか。

 2000年代優勝メンバーへの架け橋の役割を85年日本一の岡田に託すというのであれば、もうひとり平田勝男だってあっていい。長年の二軍監督でたっぷりと勝てる采配は振ってきたし、一軍のヘッドコーチも経験している。やれと言われれば、次世代へのつなぎをやるだけの実力は十分ある。それに、今年の矢野監督の表情が痛々しく感じることも多々あり、平田の底抜けの明るさを欲している自分がいる。

 ということで、私としては、平田監督で2年間つないで(理由:明るいから)、鳥谷監督が長期政権を築く(理由:カッコいいから)でファイナルアンサーとする。今日のところは。

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