「今のリストの強さはあの時のボウリングのおかげ」
超人ギータのあのパワーを形成しているのは、もちろん大学時代の部活や練習終わりにいつも行っていた自主練もあるのだが、それだけではない。練習が終わると、毎日のようにだいすけさん含めた野球部メンバーで、ボウリングに行っていたそうだ。しかもお得という理由でいつもやっていたのは6ゲームパック。練習終わりに6ゲーム?! これはかなりハードだ! お箸も持てないくらい握力持っていかれるはずだ。
さらに、6ゲームではもの足りない事が多く、大体2パック、つまり12ゲームしていたそうだ。エグすぎる。
柳田選手のハイスコアは268。プロ顔負けの記録だ。柳田選手に直接このお話を聞いたら、「今のリストの強さはあの時のボウリングのおかげ」と話してくれた。超人ギータのルーツはボウリングだったのだ。これを真似するかどうかは自己責任でお願いします。
この頃の柳田選手に注目していたのは日本球界だけではない。部活練習中にコーラを持ったカーネル・サンダースにそっくりな外国人が練習を見ていた。英語の日常会話くらいはできると自負していただいすけさんが、本場の方と話せる機会は中々ないと思い軽い気持ちで話しかけると、なんと! レッドソックスのスカウトマン! 柳田選手の視察に来ていたのだ。だいすけさんが柳田選手に「メジャー行くの?」と聞くと、柳田選手は「英語喋れんし、外国人怖いじゃん」とキッパリ。それ以来メジャーの話はしなかったそうだ。この頃からギータ節は炸裂していた。
結果的に2010年ドラフト2位で福岡ソフトバンクホークスから指名された柳田選手。みんなで盛大に胴上げをした。その時も柳田選手は謙虚で、しっかり地に足がついていた。
プロに入ってからもだいすけさんとは連絡を取り続けていた。
だいすけさんがプロの世界どう?と聞くと、お風呂場で当時現役選手の斉藤和巳現投手コーチに会ったらしく、「斉藤和巳さんやばかった! 威圧感すごかった!」と野球少年の時と変わらない無邪気なテンションで話してくれたそうだ。
かと思うと、2018年の広島の大雨による水害の時はすぐに仲間に連絡して、「みんな大丈夫? 必要なものあったら言って! すぐに送るから!」と、変わらず仲間を一番に考えてくれる優しい男。
優勝した時も、トリプルスリー獲った時も「そんなに甘い世界じゃないし、いつどうなるか分からない」と、現状に満足せずに、限界を決めずに野球に励んだ。それが今でも活躍し続ける要因なのだろう。
学生時代と変わらない無邪気な笑顔
今シーズン大活躍の柳田選手。このことについてだいすけさんに聞いてみると、一言。
「そりゃそうだろうと思いました!」とキッパリ。
柳田選手は親友だいすけさんに今シーズンへの想いを話していた。
「35歳を迎えるにあたり変化点。今まで以上にやっていかないと」
昨シーズンが終わりまずファスティングから始めた。それがまた合っていた。自主トレの練習量も増やし、地元に戻っていた年末年始も休まず走った。ランニングがてらだいすけさんの家を訪れて、「体が軽い! すごく調子が良い」そう言って、子供が大好きな柳田選手はだいすけさんの子供に野球を教えてくれた。学生時代と変わらない無邪気な柳田選手の笑顔があった。
だいすけさんに柳田選手に今後期待していることは何かを聞いてみた。
「少年野球人口を増やしてくれる存在になって欲しい」
そのように力強く話してくれた。
「自分自身、野球をしていたことによって明るい未来を描けた。もし野球がなかったら自分はグレていたかもしれない。野球に救われた。ゆうきの活躍で野球を知って、自分みたいに救われる人が増えるといい」
現在働きながら少年野球も教えているだいすけさん。子供達はあの豪快さに憧れて、「ギータ! ギータ!」と口を揃えて言う。ヒーローインタビューでも自分を包み隠さず出してくれるから子供達も喜ぶ。
「ゆうきには怪我なく楽しく長く野球を続けて欲しい」
だいすけさん含めファンも同意見で少しでも長く、豪快で仲間思いで熱い野球少年の笑顔とプレイを見たい。
最後に、だいすけさんに柳田選手に言いたい事ありますかと聞いてみた。
するとズバッと「髪切れや!」。
見ていて鬱陶しいですね、と笑いながら言った。
今シーズン好調のキャプテン柳田選手のもと、ホークスが3年振りの優勝をし、子供に夢を与え、ヒーローインタビューで再び「だいすけ」の名前を聞ける日が待ち遠しい。
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