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成果に手ごたえが感じられるような出来事

 誓いは無駄にデカいものの、具体的な妙案があるわけでもなく、できることと言えば草の根レベルのちんまりした活動のみ。

 狭い店内の一番目立たない一角に、個人的趣味全開のイーグルスコーナー、通称「犬鷲の間」をこしらえてみたり、球団のサマーイベントに些少ながら協賛し続けてみたり、球団公式の「楽天イーグルスを応援する会(2022年限りで解散)」の都内に3店舗しかない加盟店になってみたりと、効果のほどは不明な活動を思いつくままに続けてきた。

 そんな愚にもつかないことの積み重ねでも、折に触れてあちこちでアピールを続けてきた結果、徐々にではあるがイーグルスファンの間で「あそこはイーグルス推しらしい」という認知が広まり、関東近郊のイーグルスファンの来場は年を追うごとにじわじわと増加。「噂を聞きつけて仙台から来ました!」という方も増えてきているのも、本拠地ファンに認められつつあるようでとても嬉しい。

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 低い低いスタートラインに比べれば増えたというだけで、まだまだ「聖地」などと名乗れるレベルには至ってはいないが、成果に手ごたえが感じられるような出来事がこの春あった。

 他5試合に先駆けて1日早く開催された、エスコンフィールドの歴史的開幕戦。その栄えある対戦相手に指名された我らがイーグルス。

 ありがたいことに当店もご予約で満席御礼となったが、多数派を占めたのは新球場の主ファイターズのファンではなく、我らがイーグルスファンだったのだ。

 空気など読まず歴史的開幕戦で鮮やかな勝利を飾ったイーグルス。ため息よりも歓声が上回ったその瞬間の店内の光景は、なかなか感動的なものであった。

 2013年以降、CSにはちょこちょこ出てはいるものの、リーグ優勝も日本シリーズ出場も一度も果たしておらず、あの時思い描いた黄金時代も残念ながら現在に至るまで到来していない。今季も目下苦戦中だ。

 この長い時間はきっと、当店が「イーグルスファンの聖地」へと成長を遂げるための準備期間をたっぷりと与えてくれているのだ、と勝手に前向きにとらえれば、目先の成績に一喜一憂などしている暇はない(一喜一憂するけど)。

 きっとそう遠くない未来に訪れると信じている二度目の栄光、そこからの黄金時代は、仙台と見まがうようなクリムゾンレッドの熱狂の中で迎えるべく、引き続き「野球ハコ推し、だけど店主がファンだからイーグルス贔屓」の店作りをコツコツと続けてゆくつもりの『ベースボール居酒屋リリーズ神田スタジアム』。全国のイーグルスファンの皆様、どうぞお見知りおきを。

©高橋雅光

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