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タイガースでは「マスコミ名鑑」で選手が記者の顔や名前を把握する

 ちなみに阪神タイガース時代は毎年、キャンプの時期にその年の番記者の方の顔写真、名前、媒体名が書かれた「マスコミ名鑑」が配られていました。それがないと本当に誰が誰だかわからないんです……(苦笑)。ファンのみなさんが毎年「選手名鑑」で新戦力選手を憶えるように、私は毎年「マスコミ名鑑」を見て新しい記者の方の顔や名前を憶えていました。

「マスコミ名鑑」には記者の方の顔と名前、媒体名を一致させることはもちろんですが、「この記者には余計なことは話してはいけない」といった「気をつけなければいけない媒体&記者」を把握する目的もあります。

 タイガースを取り巻くたくさんのメディアの中には、当然ながらチームに対してあまり好意的な報道をしてくれない会社もあります。厄介なのは、「要注意」の媒体が年によって変わるということ。特に監督が代わったときは気をつけなければいけません。「あの会社は去年までは監督と仲が良かったけど、新監督とはあまり関係が良くないから注意するように」みたいなケースがあるワケです。もちろん、逆のパターンもあります。

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 タイガース時代はそうやって、つねに「誰に」「なにを」「いつ」「どこで」話すのか、神経をとがらせていなければいけませんでした。

 バファローズには「マスコミ名鑑」なんてモノはなかったですし、アメリカから帰ってきて入団したときにはタイガースとのあまりの違いに面食らいました。プロ入りがタイガースだったので、その環境が「普通」だと思っていたんです。なので、バファローズに移籍して、はじめて自分が「普通じゃない」環境にいたことを思い知らされました。

 ただ、実際に両球団でプレーしてみて感じたことはそれだけではありません。注目度やメディアの数、環境は確かに違うかもしれないけど、「プロ野球」のチームとして毎試合、戦う姿勢は同じです。

 タイガースにいたころ、私は2度の優勝を経験できました。バファローズでは優勝には恵まれませんでしたが、チームには良い選手も多く、「いつか勝てるはずだ」というイメージだけはありました。

 実際にバファローズは少し時間はかかりましたがリーグ連覇を達成し、今季も好調をキープしています。タイガースも、2006年以降は優勝から遠ざかっていますがつねにリーグを代表するチームとして好成績を上げています。なにより、両チームには関西を中心に熱狂的なファンがたくさんいます。

 私にとっても古巣であるタイガースとバファローズ。同じく関西を拠点にしながら、チームを取り巻く環境も、歴史もまったく違う両チームですが、もしともにリーグを制して日本シリーズで「関西ダービー」が実現したら、きっと大盛り上がりするはずです。

 そんな未来を想像しながら、交流戦を楽しみたいと思います。

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