2年前、突然届いたDM……送り主は、阪神タイガース期待の若手投手
2年前のある日、僕の元にこんな丁寧なDMが届いた。
「お疲れ様です。以前、僕のイラストを描いていただきありがとうございました! とても嬉しかったです。そこでなのですが今、プロフィール画像を変えようと思い迷っていまして新しく自分の絵を描いて頂きたいなと思いDMさせていただきました。プロフィール画像に限らず、全身の絵を描いて頂きたいのですが、本当にお時間がある時で大丈夫ですので、お願いできませんでしょうか。」
オヨヨヨヨ………??
当時web連載で描かせていただいたお仕事を通じて知ってくれた阪神タイガースの若手投手からの連絡だ。
驚きはしたものの、僕は野球やサッカーを題材としたお仕事を主戦場としたイラストレーターをやっている職業柄、ときどきこういったDMが選手から届く事がある。
どうしようかな?
そんなこんなで悩みながら彼の名前で検索してみた。
その名は「及川雅貴(およかわ まさき)」
及川と書いて“おいかわ”と思いきや“およかわ”と読む変わった苗字。
「オヨヨ」という名前で阪神ファンから親しまれているようだ。
なんだか気になる要素がさっそく溢れているなぁ。
そんな感情を抱きながらピッチングする場面を見てみた。
……す、すげぇ……! 一体なんなんだ? この躍動感全開で独特な捻りを加えた描き手心をこれほどまでにくすぐるスリークォーターのフォームは……??
左腕から解き放たれる火の球のような唸るストレートに、見事な落ちるスライダーで三振の山を築く圧巻の投球。
その見事な球を投げる彼の顔はまだあどけなさが残る若き青年だった。
少し調べただけで彼に夢中になった僕は迷わず彼からの申し出を了承し、イラストを描かせていただいた。
タイガースのチームカラーの黄色を背にのびのびとしたフォームをおもいっきり描いたら及川投手は大喜びしてくれた。
阪神ファンの人達からも沢山の嬉しい声をいただけて、なんて温かい人達なんだろうと幸せな気持ちに包まれた。
そんなことがあったのが、2022年シーズンの開幕前。
プロ2年目となる2021年に一軍で存在感を見せ、2022年は先発転向を賭けた勝負の年だった。
しかし、大きな期待感を背負った矢先の3月に脇腹を痛めるというアクシデントに見舞われる。その年は怪我の影響で一軍では1試合の登板に終わるという苦いシーズンとなってしまった。
僕がイラストを描いた事が、ひょっとして良くない縁起にでもなったんじゃないかと心の底から悔やんだ。