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子どもたちからもらう「かっこいい」が原動力

 身近な“応援団”の支えも大きい。妻・夏子さんと10歳になる長男・虎次郎くん、次男・7歳の桃次郎くん、5歳の小夏ちゃんの3児のパパでもある。1軍戦はテレビ中継があるが2軍戦だとネットメディアなどによる中継放送も限られる。

 子どもたちからすれば「1軍でパパのプレーを見たい」と思うのが普通なのだろうか。銀次に聞いてみると、「(家族は自分が)野球をしているだけでいいと思っている。1軍だからどうとか、2軍だからどうじゃなくて、(自分が)野球をしているのがすごくいいらしいです」と少しテレながらも教えてくれた。

 家族にとっては大好きな一家の大黒柱が、プロのユニホームを着ているだけでまぶしく映っている。子どもたちからもらう「かっこいい」が原動力だ。長男と次男はパパの背中を追って野球を始めたという。キャッチボールをしたり、バッティングを教える時間も、子どもの成長を感じられる癒やしの時になっている。

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「周りは『年だ、年だ』と言ってくるので…」

 盛岡中央高から2005年高校生ドラフト3巡目で入団し、35歳になった。球界全体に、「年齢」を理由に世代交代が進む風潮があるが、その流れにあらがう気持ちは抱き続けている。

「周りは『年だ、年だ』と言ってくるので、その雰囲気に流されないようにやらないといけない。そこはすごく大事にしています。『ベテランだから』とか、『年だから』とか雰囲気にみんな流されがちだけど、それは違う。そういう時こそ、いかに自分ができることをやれるかが大事になってくる」

 そう決意を語る口調は自然と熱を帯びていた。

 今後について「40歳、50歳を目指してプレーを続けるのか」と聞いてみると、「それはないです」と間髪入れずに返ってきた。ここ数年が勝負だと踏んでいる様子で、「1年でも長く、かなとは思うし、最低、プロで20年はやりたいので、あと2年はやりたい」と目標を口にした。

 チームは逆転でのクライマックスシリーズを目指している真っただ中。不測の事態が起これば、入れ替えの可能性も十分ある。

「もちろん、常にいつでもいける準備はしています。できることをしっかりやって、(東北のファン)みんなを楽しませたいです」

 1238本の安打を積み上げてきた、みちのくの安打製造機は最後にそう締めくくり、また練習へと向かって行った。

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