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地元を大切に思う気持ち、ファンを想う気持ち

 岸孝之選手は2016年11月18日楽天イーグルスへ入団した。星野仙一氏の「迷ったら前へ進め」という言葉が決め手になったと話した感動の会見から約7年。

 会見当時、岸選手は「野球を始めたのがこの仙台ですので、そこからプロに入るまで沢山の方にお世話になりましたし、支えられてここまで来れたという思いがあるので、そういう方たちにも成長した姿を見せたい、また地元に恩返しをしたいという強い気持ちがありました」と真剣な表情で話した。

 会見が行われたイーグルスドームにいた自分は、とても地元思いの優しい人が楽天イーグルスに入団したんだと嬉しくなったのを記憶している。地元を大切に思う気持ち、ファンを想う気持ちが、今シーズン地元・仙台で達成した2000奪三振、150勝に繋がったにちがいない。

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好きなおにぎりの具は「すじこ」の岸孝之選手 ©️河内一朗

 幾度となくラジオインタビューもさせてもらっているが、いつも丁寧に応じてくれる岸選手。それはラジオのリスナーが少しでも喜んでくれるならという思いがあるから嫌な顔一つせずに応じてくれるのだろう。他の選手に岸選手について聞いても「思いやりがあって寄り添ってくれる」「本当に優しい」「紳士的」などと声を揃える。きっと岸選手は常に主語が自分ではなく、「チームが勝ってファンの人に喜んでもらいたい」「誰かのために」という強い信念が根底にあるのだろう。

 さて楽天イーグルスはホームゲームは残り10試合となり、2023パーソル クライマックスシリーズ パ (以下:CS)への進出をかけて一戦必勝で戦っている。どの試合、どのスタジアムでCS進出を掴むかは誰もわからないが、どうか本拠地であってほしいと願っている。

 欲を言えば、岸孝之選手が楽天モバイルパーク宮城で先発してCS進出を決めてほしい。東北を思い、地元を愛し、ファンにサプライズを仕掛けて喜んでもらおうとする岸選手にCSの切符を掴みとってほしい。スタジアムが笑顔と歓喜で包まれたなら岸選手も何より嬉しいことだろう。

 その願いが叶うならラジオ実況でも吠えさせていただきたい。

「東北の宝・岸孝之の好投が光り、愛する地元仙台でCSの切符を掴み取りましたぁ!」と。ここからの正念場、東北の野球の底力を岸孝之選手が見せてくれると信じている。

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