はぁ……長い長いオフシーズン……ファイターズの今季リーグ戦全日程終了から1か月が経とうとしている。

 今季も我がファイターズはアレな感じで終わった。ドラフト会議も終わり、バファローズとタイガースによる“関西シリーズ”が盛り上がる中、東京ドーム開催の無かった東京のファイターズファンとしての楽しみは、新入団選手の背番号はどうなるのか?トレードなどで選手の出入りはあるのか? 来シーズンの日程は? 東京ドーム開催は? 悲しいかな、そのくらいしかない。

 新本拠地エスコンフィールドHOKKAIDOも3回行くことができたが、うち観戦が1回、入浴が2回と温泉が上回った。

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美しい緑のグラウンドとオープンルーフからの青空を眺めながらのひとっ風呂は格別… ©三村ロンド

想像以上の劇空間が広がっていた横浜スタジアムでの熱すぎる一戦

 今季のファイターズは実にアレな試合ばかりだった……特に忘れてしまいたい13連続アレとか……振り返れば振り返るほど悲しい、悔しい、ネガティブな気持ちになってしまいそうな2023シーズン。(あ、さっきから僕が使うアレはタイガース岡田彰布監督が使うアレではなく……どうかそこの所は察してほしい……)

 でも、ひとつあった。そんなシーズンでも忘れられない一戦が。この目で見た熱すぎる一戦が。

「6.19 ハマスタ」

 セ・パ交流戦ベイスターズ戦の降雨ノーゲームとなった代替試合が翌週月曜のナイトゲームとして組まれ、応援仲間である友人と急遽参戦する事にした。

「ファイターズの闘いをスタジアムで、この目でライブで見たい」

 僕はこの日、ナレーション収録の無いオフだったが、子育てで忙しい妻も理解してくれて、喜んで僕を送り出してくれた。友人と合流し横浜スタジアムへ急行! コロナ禍前に訪れて以来である。

 がしかし、そこには想像以上の劇空間が広がっていた。

 この日、交流戦優勝がかかったベイスターズファンはまさにテンションマックス。観客は32,000人を超えほぼフルハウス。優勝をこの目に焼き付けたいベイスターズファンでハマスタは熱狂の坩堝と化していた。レフトスタンドの片隅、ビジター外野席に押し込められた我々ファイターズファンは、全方位から大声援を送る“ハマの青い波”の音圧に飲み込まれそうになっていた。僕らはそんな一角から負けじと声援を送る。みかん氷や青星寮カレーを楽しむ余裕なんて全く無かった。

 ベイスターズ先発の上茶谷大河に無失点に抑えられていたが、5回から2番手三嶋一輝にスイッチ。その代わり端にアレン・ハンソンがライトスタンド中段へ大きな先制ソロホームラン!

 しかしその後7回裏に河野竜生が踏ん張れず佐野恵太に勝ち越し打を許し、森原康平、入江大生、J.B.ウェンデルケンと継投策の前に沈黙が続いた。そしてハマスタの空気は徐々に交流戦優勝へのカウントダウンムードに覆われていった。そんな2点ビハインドの終盤8回にクリーンナップの一角アリエル・マルティネスが、伊勢大夢を捕まえ2点タイムリーで同点に追いついた。

 そして延長戦に突入した10回表。このシーソーゲームを制したのは4番バッターの万波中正だった。“ハマの守護神”山崎康晃の変化球を引っ叩く! 打った瞬間わかる豪快な弾丸ライナーが我々がいるレフトスタンドに一直線! 横浜高校出身、馴染みのあるハマスタでの大接戦にケリをつけるハムの若き主砲の頼もしい一撃にファイターズファン狂喜乱舞だ。

 ラストは玉井大翔が締めて勝利! 日本シリーズ7戦分をこの4時間15分に凝縮したような非常に見応えのある熱戦だった。