日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。
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ReFa快進撃の真贋
6年前、不正会計問題で巨額赤字を計上したMTG(松下剛社長)が、劇的な復活を遂げている。
名古屋に本社を置く同社は、海外セレブを起用した通販ブランド戦略で知られる。腹筋のトレーニング機器「シックスパッド」ではサッカーのポルトガル代表、クリスティアーノ・ロナウドを広告塔に起用。米歌手のマドンナと提携して化粧品ブランドも開発した。2018年の上場時には、この2人の関係法人が大株主になったことで大いに注目され、取引初日に時価総額が3000億円に迫る華々しいデビューを飾った。
ところが翌年、状況は暗転する。中国子会社を舞台とする不正会計問題が発覚。調査の過程では、松下氏自らが旧知の香港法人に私財を提供して商品購入を依頼し、売り上げを水増ししようとした未遂事案まで発覚した。結局、19年9月期は360億円の売上高に対し、約260億円もの最終赤字を計上。上場廃止さえ取り沙汰される危機的状況に陥った。
その後、立て直しに専念する同社への注目度は下がったが、ここ1年の業績改善は目覚ましい。25年9月期、売上高は1000億円近くまで急増、経常利益も100億円を突破したのだ。
牽引役は大ヒット美容ブランドのReFa(リファ)である。ブランド自体は数年前から展開していたが、得意とする俳優を起用したイメージ戦略に加え、美容師などプロフェッショナル層への浸透策が当たった。ドライヤーやヘアアイロンなど、数万円の高価格帯商品が幅広い年代の女性に飛ぶように売れている。
この復活劇で忘れてならないのが、不正会計問題直後から23年暮れまで会長に迎え入れていた大田嘉仁氏(現・小林製薬会長)の存在。同氏は京セラ出身で、同社創業者の稲盛和夫氏が再建請負人として日本航空に乗り込んだ際に右腕を務めた。
じつは、松下氏は脱サラして愛知県内で中古車販売業を始めた頃、稲盛氏が主宰する「盛和塾」を知り、直々に薫陶を受けた。
〈この続きでは、過去に不正会計を招いた要因を分析しています〉
※本記事の全文(約4800字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年1月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。全文では下記の内容をお読みいただけます。
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11月13日、富山銀行(中沖雄頭取)はPlan・Do・See(浅葉翔平社長、以下PDS)との資本業務提携を発表。PDSから5%の出資を受け入れる格好だ…

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出典元
【文藝春秋 目次】前駐中国大使が渾身の緊急提言! 高市総理の対中戦略「3つの処方箋」/霞が関名鑑 高市首相を支える60人/僕の、わたしの オヤジとおふくろ
2026年1月号
2025年12月10日 発売
1550円(税込)



