今年6月から不適切会計が次々と発覚したニデック(旧日本電産)では、第三者委員会による調査が進められている。さらに10月、ニデック株は日本取引所グループによって「特別注意銘柄」に指定された。
これは有価証券報告書に虚偽を記載したり、内部統制に問題が生じたりした企業に科せられるもので、上場廃止になる可能性さえある。ニデックは創業以来の危機的局面に立たされている。
「翌期の売上を先食いして計上」ニデック元中堅幹部の証言
そのニデックが以前から“粉飾決算”を疑われる経理処理をしていたことが、ジャーナリストの井上久男氏によるリポート「ニデック永守代表の落日」(文藝春秋1月号)で明らかになった。
井上氏は記事で、次のようなニデック元中堅幹部の証言を紹介している。
〈「ニデックでは決算間近に売上が足りないと、翌期の売上を先食いして計上するために『赤伝票』を発行し、翌期に入ると、その売上を元に戻す『青伝票』を発行していたことがある」
それが事実だとすれば、明らかに粉飾決算だ。ニデック広報にこの点を確認すると、「第三者委員会による調査事項となりますため、回答は控えさせていただきます」との返答だった〉
永守氏が公認会計士のことを『俺の子分』
こうした不適切な経理処理については監査法人が厳しく目を光らせているはずだが、把握していたのかどうか。井上氏のレポートではこんなエピソードが明かされている。
〈経営中枢にいた別の元役員は「ニデック担当の公認会計士A氏のことを、永守氏が『俺の子分』だと言っているのを聞いたことがある」と明かす。これも事実だとすれば、永守氏と担当公認会計士の関係が、「監査される側」と「監査する側」の一線を越えたもののように聞こえる。担当公認会計士がニデックの決算に対して厳正に対応できていたのか、疑念を抱かざるをえない〉
今年発覚した不適切会計によって、監査法人のPwCジャパンは、ニデックの25年3月期決算と26年3月期中間決算について、それぞれ「意見不表明」、「結論の不表明」とした。決算が適正だと認めるために必要な証拠を入手できていないからだと監査法人は言う。
ほかにも、過去にリストアップされていた巨額の不適切会計や、永守代表が目標を達成できない部下にプレッシャーをかけていたエピソードなどが、月刊文藝春秋1月号(12月10日発売)、および月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」(12月9日先行配信)掲載のレポート「ニデック永守代表の落日」で明かされている。
※2年目から通常価格の10,800円(税込)で自動更新となります。 ※お申し込み画面でプロモーションコード「NHRG9MBPM6」をご入力いただいても同じ割引が適用されます。
出典元
【文藝春秋 目次】前駐中国大使が渾身の緊急提言! 高市総理の対中戦略「3つの処方箋」/霞が関名鑑 高市首相を支える60人/僕の、わたしの オヤジとおふくろ
2026年1月号
2025年12月10日 発売
1550円(税込)

