(なかむらとうきち 中村藤吉本店会長。1952年、京都府生まれ。宇治茶の老舗茶商「中村藤吉本店」会長。当主が代々襲名する「中村藤吉」の六代目。92年、父より経営を引き継ぎ、抹茶スイーツなど新商品開発とカフェ展開、また海外や東京への出店で、事業を拡大。2017年より宇治市観光協会長を務める。)

私は、この家で生まれ育ち、いまも商売をしながら、住んでいます。私自身には家の遍歴はないのですが、この家は170年に及ぶ歴史があります。子どもの頃は、冬はとにかく寒くて、炊事も風呂も薪をくべるところからしなくてはならず、不便な家だと思っていました。ガスが通って、そういう不便はなくなりましたが、そのまま忘れてしまってよいのかという思いもあって。古い家を知っているのは私だけ。だから、お曲突さん(竈)も五右衛門風呂も復元しました。製茶工場の高い天井や太い梁も往時のままです。そうやって、次の代に引き継いでいきたいと思います。
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source : 週刊文春 2025年2月6日号