お笑いとしてのではなく、司会者(というかMC?)としての太田光について考えている。お笑いについてはまったく疎いので何も言えないから措いといて。
私が知ってるのは『サンデージャポン』に出ている太田光で、言わないでいいことを言ってよくそれが切り取られてネットで炎上している。統一教会の信者に寄り添うようなことを言ってた時とか。
それだけ切り取られたらとんでもない奴だということになる(だからこそ炎上する)。太田光は『サンジャポ』で「逆張り」「混ぜっ返し」「茶化し」みたいなことをよく言う(そして田中裕二がつっこむ)けど、それはお笑いの人としての義務か、あるいは条件反射でやっている。どうでもいいような、直近で言えばフジテレビの社長会見やった部屋のバックに掲げられた巨大な赤富士の絵を見て「フジに赤信号」とか、……お笑いの人としてそれでいいんかと言いたいが、太田光はそこはたぶん気にしてない。そんなことはどうでもいいと思ってるから。

太田さんは『サンジャポ』を「よくある、タレントを並べたワイドショー」にはしたくない。「MCとして自分はあらゆる人の気持ちになって考えるところから始めたい」と思っている。基本的にものすごく(めんどくさいほど)真面目。
だから中居問題について、ジャニーズから松本人志問題までずっと「性加害の有無」つまり「やったかやってないか」ばかりがクローズアップされて人間の尊厳が損なわれた、そこをワイドショーは問題にしてこなかった、というようなことを、考え考え言った。
統一教会の信者のことを言った時も、いいか悪いかよりも前に「宗教にすがってしまう、すがらざるをえない人」について、自分ごととして考えて言っていた。そういう考えで発言する人がぜんぜんいなかったから自分が言いたいと思ったに違いない。
しかし。それを言ってる舞台はワイドショーで、杉村太蔵なんかがあの調子でコメントしてるし、太田さん本人だってどうでもいいと思ってるようなネタは茶化したりわざとの逆張りをしてみせたりもしてるわけで、どうしたって太田さんの言いたいことは重いことも軽いこともいっしょくたに流れていくだけだ。
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source : 週刊文春 2025年2月6日号