人間には「格」というものがある。面と向かったとき理屈を超えて圧倒されるのは、わたしの場合、「武士」だ。もっと限定すれば、三船敏郎演じる素浪人だ。こういう人に何を言っても軽蔑されそうな気がする。
だが、わたしの父方をたどっても母方をたどっても先祖に武士はいない。どこかで武士と不倫して生まれた子だったというのが唯一の希望だ。だが先祖に頼るなど、しかも先祖の不倫に頼るなど、武士としてあるまじき態度だ。素浪人に一刀のもとに切り捨てられても不思議ではない。
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source : 週刊文春 2025年2月27日号