日本では50歳以上の2人に1人が罹患する歯周病。今回は、歯周病リスクに常に晒されるシニア世代のために、歯を強くするフッ素活用法を下方教授が伝授。新歯磨き法からお口の体操まで、目から鱗の7習慣をお届けする。

 

●フッ素の多い歯磨き粉を使い「ゆすがない」

●イワシ、ワカメ、紅茶が効果大…他

 

◾️下方浩史教授の「90歳まで健康長寿」

初回 血管を柔らかくする

前回 白内障手術を楽にする5カ条

「十分な栄養を摂る上で健康な歯は欠かせません。口は飲食物の入り口であると同時に、様々な細菌やウイルスの侵入口でもあります。特にシニアは、日頃から十分な口腔ケアをしておかないと、歯周病や虫歯で大事な歯を失うばかりか、命に関わる疾患の発症リスクを高めてしまいます」

 そう語るのは、老年科専門医で、名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科の下方浩史教授だ。40年以上に渡って老年病(高血圧症や糖尿病、動脈硬化などを指す)の研究を続けてきた。

「歯周病とは、歯垢(プラーク)を病巣とし口腔内で増殖した歯周病菌が歯周組織に炎症を起こす病気です。恐ろしいのは、炎症により歯が抜けていくばかりか、出血口から歯周病菌が血液を通じて全身へ流れ込むこと。歯周病は血糖値を悪化させ、糖尿病と相互依存の関係にあります。糖尿病は動脈硬化の一因ですから、脳梗塞や心筋梗塞など、突然死につながる疾患を発症する恐れがあります」

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source : 週刊文春 2025年7月17日号