(かわうちありお/1972年、東京都生まれ。日本大学卒。米国ジョージタウン大学大学院修士課程修了。米国企業や国連勤務を経てノンフィクション作家として活躍。『空をゆく巨人』で第16回開高健ノンフィクション賞、『ロッコク・キッチン』で第35回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。)

恵比寿にある実家は、母に断りもなく父が「眺めが良かったよ!」と衝動買いしたマンションです。商売人だった父は自由人で、遊び歩いてばかりでした。夫婦喧嘩も多かったから、2004年に父が他界してから母は心穏やかになり、80歳を過ぎた今はほぼ菩薩(笑)。私たちは、父が残した借金の後始末で実家の問題に翻弄されてきたので、家に縛られたくないという思いが強いですね。
ノンフィクション作家として活躍する川内有緒さんは1972年、東京・恵比寿で生まれた。父が購入した同じ恵比寿のマンションに引っ越したのは4歳のとき。同年、妹が生まれ、母はマンションの1階で小さな生地屋を営むようになった。
当時の恵比寿はまだ下町の雰囲気が残っていて、9階にある実家のマンションから富士山が見えました。近所の人たちとは家族ぐるみで付き合うほど濃密な関係で、「三丁目の夕日」のような場所でしたね。
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source : 週刊文春 2025年12月25日号






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