(みきたにひろし 1965年神戸市生まれ。88年に一橋大学卒業後、日本興業銀行(現・みずほ銀行)に入行。退職後、97年にエム・ディー・エム(現・楽天グループ)を設立し、楽天市場を開設。現在はEコマースと金融を柱に、通信や医療など幅広く事業を展開している。)
アメリカのシリコンバレーにある自宅で、僕は10年くらい前から友人を呼んでバーベキューパーティを開いている。
近くに暮らす起業家やベンチャー投資家の知人を家族ぐるみで招待するのだけれど、せっかく来てくれるのだから日本の文化にも触れてもらいたい。そこでいつも日本食を出すだけではなく、綿菓子や金魚すくいなんかも用意して、日本のお祭りの縁日のような雰囲気を作っている。
フェイスブックのシェリル・サンドバーグ、セールスフォースのマーク・ベニオフ、ペイパル創業者のピーター・ティールや投資家のベン・ホロウィッツ、エバーノートを作ったフィル・リービン。ウーバーを創業したトラヴィス・カラニックも、バーベキューに招待しているメンバーの一人だ。
彼らに共通する雰囲気を表現するとすれば、普通なら「無理だ」と多くの人が思うようなことを、「実現できる」と思い込んで前に進んでいくエネルギーが桁外れに大きい、と言えばいいだろうか。羊みたいに大人しい人もいれば、見るからに凶暴なライオンや突進してきそうな猛牛みたいな人もいるけれど、その中身がそれぞれの形で「ぶっ飛んでいる」ように感じられるのだ。
ただ、一方で僕が心地よさを感じるのは、そんな彼らにほとんど権威主義的なところがないからでもある。それは「規制」の少ない環境の中で、挑戦的な試みをしてきた人たちならではの余裕なのかもしれない。
アメリカにはアップルやグーグルにも投資してきたクライナー・パーキンスやセコイアといった巨大ベンチャーキャピタル(VC)があって、それらが「エコシステム(事業生態系)」として機能している。
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source : 週刊文春 2021年7月8日号