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 とりあえず今の形態での連載は、これでおしまいということで、まだこの最終回の原稿は書き終えていないのに、心が先に解放感を迎えたせいで、連日外出して遊んでいる。

 といっても独りでする地味な遊びで、自分は昔から田中康夫さんの書いた『なんとなく、クリスタル』という本が好きで、これは1980年代前半の神宮前に暮らすモデルの女子大生が主人公のスノッバリーなお話だ。

 当時の東京の風俗の説明が注釈で事細かく書いてあって、物語の面白さに加え資料的な側面もある。肩ひじ張らないで読める軽さが魅力で、バブルを迎える直前の東京の、ブランドにこだわる、お金を稼いだらすぐ使いまくる景気の良さも、生まれてきたときから不景気だった自分らの世代にとっては、もはやロココ時代のフランス宮廷ぐらい現実味の薄い、ほとんど夢物語として読める内容だ。

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source : 週刊文春 2026年4月16日号