この号を読者が手に取るころには、最終話を迎えた番組も多いはずで、まずは春ドラマの雑感から。

 作品の質と娯楽性、スピード感を併せ持った『銀河の一票』が断トツ、ぶっちぎりで文句なしだ。強力な選挙参謀(岩谷健司)が現れ、黒木華と野呂佳代を支えるあたりは王道の展開で観る者を惹きつける。

 さらに以前からチラと映される白杖の背景も明かされ、最悪の暴露系ユーチューバー(渡邊圭祐)の哀しい過去と相まって、物語のギアは一段と加速された。

 絶大な権力を持つ与党幹事長で、黒木華の父でもある非情な政治家を演じるのは坂東彌十郎で、春ドラマの陰の主役は彼かもね。

 なにしろ朝ドラ『風、薫る』では明治初年では珍しい舶来品店の主人でヒロインたちを助け、『夫婦別姓刑事』でも小心者にして人情家の警察署長を演じ、さすが彌十郎さん、三役を見事に演じ切っている。

 他では、永作博美と松山ケンイチが共演する『時すでにおスシ!?』かな。軽く笑えて、しんみり。五十歳になって子育ても終え、アタシ何しよう。そんな戸惑いを、永作さん、いい感じで演じてる。

 そしてそして、松山ケンイチを観ていると、楽しくってね。前期の『テミスの不確かな法廷』では、発達傷害を抱えた誠実な裁判官を演じ、冤罪と対峙する演技は文句なしだった。

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source : 週刊文春 2026年6月11日号