(ふじいめぐみ/1966年、神奈川県生まれ。女子栄養大学卒業後、料理番組のアシスタント等を経て独立。管理栄養士でもあり、健康に配慮したレシピを提案。新刊『からだいたわり減塩ごはん』(扶桑社)、『腸を動かす朝ごはん 休ませる晩ごはん』(暮しの手帖社)が好評発売中。)

 

 お弁当に詰まっているのは家族の物語。娘たちが思春期で口数が少なくなった時期も、お弁当箱が空っぽだと「元気に過ごせたんだな」と安心し、残していたら「何かあったのかな」と心配になる。子供にとっても外にいながらにして家族の存在を感じられる小さな箱。それがお弁当だと思うんです。

「お弁当はワンパターンでいい!」と謳い大ヒットを記録しているお弁当レシピ本『藤井弁当』(Gakken)。その著者で料理研究家の藤井恵さんの家の歴史は、やはり“食”に彩られている。

 藤井さんは1966年、神奈川県川崎市で誕生。家族は両親と10歳上、6歳上の兄2人。父は工務店を経営しており、60坪ほどの敷地に建つ自宅は父が作ったもの。敷地内には工務店の事務所と作業場もあった。

 建てた当初は小さな平屋だったそうですが、少しずつ増築し、私が物心ついた頃には2階建てになっていました。工務店の職人さんの中には出稼ぎの人たちもいたので、家の近くの借家に泊まって、ご飯は私たち一家の家で食べてもらっていました。そのための食堂も増築。母は職人さんのご飯も作っていたので休む暇もなかったと思います。

 私が小学6年の時に近所の火事が延焼して家が焼けてしまって。幸い私たちは留守中で無事でしたが、煤だらけでとても住める状態ではなく、取り壊して2階建ての家を再建。1階は6畳間と台所、両親の部屋、応接間、風呂やトイレ。2階の子供部屋は、次兄と私は6畳なのに、長兄の部屋だけなぜか8畳でしたね。

 藤井さんが中学生の頃、父が心臓発作で急逝。工務店は従兄弟と長兄が引き継いだ。

憧れの「3分クッキング」。叱られながらも根性で食らいつく

 料理に興味を持ったのは小学生の頃からです。「キユーピー3分クッキング」や「きょうの料理」「料理バンザイ!」をはじめテレビの料理番組をよく見ていました。職人さんたちの食事を毎日作っていた母でしたが、実はあまり料理が得意ではなく、料理番組に出てくる洒落た料理をお願いしても作ってもらえなくて。テレビに釘付けになりながら未知の味を想像して楽しんでいました。

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source : 週刊文春 2026年6月18日号