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打ち手不足はこうして解決した|三木谷浩史

三木谷浩史「未来」 第7回 

三木谷 浩史

連載

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(みきたにひろし 1965年神戸市生まれ。88年に一橋大学卒業後、日本興業銀行(現・みずほ銀行)に入行。退職後、97年にエム・ディー・エム(現・楽天グループ)を設立し、楽天市場を開設。現在はEコマースと金融を柱に、通信や医療など幅広く事業を展開している。)

 5月上旬からワクチン接種の問題に関わるようになった僕が、最初に指示したのが神戸市での産学官連携による接種体制作りだった。「ヴィッセル神戸」の本拠地・ノエビアスタジアム神戸で、大規模接種オペレーションを行うというものだ。

 この大規模接種では神戸市や神戸大学、神戸大病院や慈恵医大、SBCメディカルなど8者の協力のもと、国内初の産学官連携による接種体制「神戸モデル」の構築を目指した。

 具体的には、2つの接種ブースに看護師3名が衝立を挟んで対応できるようにし、接種担当2名と補助役1名でローテーションしながら実施することで最小限の医療従事者で安全かつ迅速に接種を行えるようにする。オンライン予診を活用することで、現場にいない医師にも協力を得られる環境を整える。在庫がなくなったブースに対し、連絡をしなくても新たなワクチンが供給される工夫、カンバン方式を徹底する。もちろん、日々のオペレーションの中で、1秒でも効率化するためのカイゼンを繰り返していくことも重要だ。

「神戸モデル」を作る上で大切だと考えていたのは、効率的な「仕組み」をまずはしっかりと作り、実際に運営することによって、周囲の接種体制にも広く影響を与えていくという狙いを持つことだった。

 実際はどうだったか。受付から接種までの時間を約3分半に短縮し、6月末までにはノエビアスタジアムだけで1日4000人、累計7万人弱の接種を実現させた。結果、神戸市の感染者は4月下旬の250人前後をピークに、6月下旬以降、1桁台の日も出てくるようになった。現在ではそのガイドラインやマニュアルを全国の約30の観光地の温泉組合、自治体、企業に提供している。

ややこしい予診票

 この「神戸モデル」を活用する形で、6月21日から開始されたのが懸案の「職域接種」だ。東京の本社オフィスでの職域接種を含め神戸モデルとして掲げたのは、順次開設していく地方の接種会場も合わせ、一日に3万回以上の接種可能数を実現するオペレーションの構築だった。

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source : 週刊文春 2021年8月5日号

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