【前回までのあらすじ】大宝テレビのディレクター・加藤大地が大御所芸人のウォッチャー目黒にレイプされた。同局のニュースキャスター・鷲尾粧子(50)と加藤の親友の「週刊文春」記者・速水理央(34)は、各々この件の報道を企てる。別件の取材で地元の交番の巡査を訪ねた理央は、取材中、高校時代の親友・美貴と沙緒里の自殺に目黒が関わっていたことを知る。
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急激に、視野が外側から暗く翳ってきた。
「……大丈夫?」
遠藤巡査が、こちらの顔を覗きこむ。
頷きながらも、理央は目を閉じ、浅い呼吸をくり返した。自分の顔から血の気が引いてゆくのがわかる。その血が、座っている腰のあたりにまで落ちて、脂汗がにじみ、きぃーんと金属的な耳鳴りがする。まずい。
「すみません、ちょっと……」
水玉の湯呑みを横へ押しやり、机に腕を乗せて顔を伏せた。
「どうしたの、気分悪い?」
「すぐ……良くなりますから」
「貧血?」
小刻みに頷くしかできない。
「横にならなくて平気?」
「だい、じょうぶ、です」
「わかった。こっちのことは気にしないで、しばらくじっとしてなさい。私は向こうにいるから、何かあったらすぐ声をかけて」
こういうところは、やはり警察官だけある。狼狽えたり無理に介抱したりせず、様子を見ながらもそっとしておいてもらえるのがありがたい。
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source : 週刊文春 2026年6月25日号






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