さすが向田邦子賞を最年少で昨年、受賞しただけあって、兵藤るりさん、ヒット作、連発だ。

 真夜中の都会を走るタクシー運転手を古川琴音が演じる。そのミステリアスな表情を予告編で観た瞬間、傑作の予感があった。

 古川琴音が目当てで狙いをつけたドラマです。そうしたら、脚本はなんと前回で取り上げた『時すでにおスシ!?』の兵藤るりで、びっくりしたなモォーだ。

 花の蘭に、象の子どもと書いて、あららぎ・しょうこ。深夜専門のタクシードライバーだ。ショート・ボブに前髪パツン。私は苦手なんだよ。あの髪型が似合う人って滅多にいないの。すごく綺麗な顔だちしてるか、一般人と俳優とを問わず、際立って個性的な内面を持ってないと駄目。

 その点、象子を演じる古川琴音はピッタリ。面倒くさい客が乗車しても、無表情に、かつ簡潔に客と対応する。行き先と時間を訊いて、目的地に着けば料金を告げる。ウザイ奴も多くてさ。女同士だと友情の確認や価値観の押しつけとかあり、あげく「運転手さん、どう思いますかぁ?」と振ってくる。

古川琴音 ©文藝春秋

 そんなとき象子は無表情で「あたしは別に」と応じるだけ。でも面倒臭い客って不快な顔はしない。なんだか客の口調とかヤバくなったら、バックミラー越しに一瞬チェックする。

 無駄口は叩かず、合理性重視で客を安全に目的地まで届ける象子を気に入って指名する客もいる。

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source : 週刊文春 2026年7月2日号