【前回までのあらすじ】芸人のウォッチャー目黒にレイプされた、とディレクター・加藤大地から聞かされた大宝テレビのニュースキャスター・鷲尾粧子(50)と加藤の親友の「週刊文春」記者・速水理央(34)。本件を記事にすべく奔走する理央は、粧子への取材の機も窺っていた。他方、粧子は同誌の連載「新・家の履歴書」の取材を受けに、文藝春秋の応接室に来ていた。
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「失礼します」
ドアを開け、あの時の女性記者が一礼して入ってくる。粧子を見て、さらに深く頭を下げた。
「先日はたいへん失礼致しました。『週刊文春』の速水と申します」
「失礼してしまったのはこちらのほうですから」
互いに名刺を交換する。あの夜は差し出されても受け取らなかった名刺を、粧子は見つめた。
――速水、理央。
素っ気ないほど凜々しい印象の彼女に似合う名前だと思った。
と、彼女が真顔でこちらを見た。
「鷲尾さん。この後はお急ぎですか」
「え、今日はご挨拶だけって……」
横から藤木デスクが慌てたように割って入る。
「こんな機会はめったとないので。少しでかまいませんから、お時間頂けないでしょうか」
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source : 週刊文春 2026年7月16日号






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