【前回までのあらすじ】芸人のウォッチャー目黒にレイプされたとディレクター・加藤大地から相談された、大宝テレビのニュースキャスター・鷲尾粧子(50)と加藤の親友の「週刊文春」記者・速水理央(34)。同誌の連載の取材を受けに文藝春秋の応接室を訪れていた粧子の元に理央が現れた。向き合う二人は互いに真相を探り合い、理央は粧子に本件の証言を依頼する。

 

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「当然、局の名前も出しません」

 こちらが区切った三十分のタイムリミットが迫っているせいもあってか、速水記者の物言いになおさら熱がこもる。

「絶対に鷲尾さんだとはわからないように書きますから、なんとか証言して頂けませんか」

「そう言われても……」

 粧子は目をそらした。

「私にも立場がありますから」

 ヴヴ、と振動音がする。速水のポケットの中でスマートフォンが鳴ったようだが、彼女は取りだして見ることもしない。

「だいたい、どうして私の証言なんかが必要なんですか? 私は現場を見ていたわけじゃない。本人が話してくれた以上のことは何も知らないのに」

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source : 週刊文春 2026年7月23日号