(ばろんよしもと/1940年、満州奉天市生まれ、鹿児島県指宿市育ち。漫画家、画家。59年に漫画家デビュー。代表作に70年から80年まで連載した「柔侠伝」シリーズなど。80年に単身渡米してマーベルコミックなどで執筆。2024年に新たな連載『あゝ、荒野』をスタート。)

85歳になった今も現役です。新作『あゝ、荒野』(原作:寺山修司)を描き、画集『男爵』『画俠伝』や往年の作品の復刊も続いています。世代を超えた読者に恵まれ、本当に嬉しいですね。
名作『柔侠伝』などで知られる劇画界のレジェンド・バロン吉元(本名、吉元正)さんは1940年、旧満州国の奉天で4人兄妹の長男として生まれた。
父は満鉄系の国策企業・日満商事に勤め、母は専業主婦。生家はレンガ造りの社宅で、冬はオンドルが暖かく、よく腹ばいになっていました。すると近くの関東軍演習場から機関銃の音が響き、床が震えるのを感じたりして。そうそう、かくれんぼで便所に忍び込んだら凍結した床で滑り、カチカチに凍った便所の穴に落ち、助けられたこともありました。
満州で最も鮮明な記憶は、新京の街で迷子になったことです。正月の雑踏で両親とはぐれ、親を探して歩き回る幼き日の私の目には、その街がエキゾチックな“魔都”に映りました。
敗戦を迎えたのは5歳になる直前。父は保管していた武器や弾薬を川へ棄てたせいで、ソ連軍に拘束されてしまいました。同僚たちの証言で棄てたものが発見され、無事に釈放されてから、一家は慌てて引き揚げました。
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source : 週刊文春 2026年8月6日号






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