【前回までのあらすじ】芸人のウォッチャー目黒に犯されたと、ディレクターの加藤から告げられた大宝テレビのニュースキャスター・鷲尾粧子(50)と加藤の親友の「週刊文春」記者・速水理央(34)。目黒は十八年前に理央の親友たちをもレイプしていた。共犯していた『すぷりんぐズ』の純平は、その場を撮影した動画データを隠し持っていることを相方の憲二に告げる。
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校了日の「週刊文春」編集部は静かに殺気立っている。
スマートフォンが鳴り出したのは、理央が自分の席で再校ゲラに目をこらしている時だった。
番号が表示されるだけで相手が誰かわからない場合でも、基本、電話には出る。いわゆるタレコミには「文春リークス」という専用窓口があるが、そうでなくともいつどんなきっかけで有益な情報がもたらされるかは予測がつかないからだ。
もしもし、と耳に当てると、
〈速水理央さんの携帯ですか〉
まるで深夜のラジオ・パーソナリティのように甘ったるい声の男が言った。
「そうですが」
〈北島といいます〉
きたじま……。つい最近耳にした気がするがいったいどこで、と思いかけ、心臓がどくんと脈打つ。
(――北島さんも頭痛持ちだから)
加藤大地の新しい恋人……と考えていいのだろうか。
〈今、少々よろしいですかね〉
落ち着きはらった様子で、しかし理央の答えも待たずに男は続けた。
〈速水さんは加藤大地くんの古いご友人でらっしゃると聞きましたが〉
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source : 週刊文春 2026年9月10日号
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