僕はスポーツを観るのが好きだ。楽天グループがチームを持っている野球やサッカーでも、たくさんの観客が詰めかけているスタジアムに行くと、そこにはインターネットにはないものが確かにある、と感じる。
選手たちのプレーが生み出す臨場感、お客さんたちのエネルギーが混然一体となった雰囲気。「その場所にいるからこそ伝わってくる」というリアルなあの感覚は、やはり何物にも代え難い貴重な体験を与えてくれるものだ。
だけど、プロ野球だけでも1シーズンには143回の試合がある。どんなファンもすべての試合を現地で観られるわけではない。普通であれば、年に10試合くらいスタジアムに足を運べば多い方だろう。では、現場で感じるあの臨場感や雰囲気を、テレビというメディアでいつか再現できるようになるだろうか。あるいは、そこにはまた全く異なる「体験」が生み出されるのだろうか。
前回、僕はテレビというものが近い将来、「大きなスマホ」になっていくと書いた。それはテレビとインターネットが本当の意味で融合していくということだ。
そのことの意味と可能性を知るためには、インターネットとテレビの違いを改めておさらいしておく必要がある。
これまでのテレビとは、コンポーネント映像信号(映像を構成する輝度信号、同期信号、色信号などをそれぞれ分解して扱えるようにした信号)を受け、それを変換して映像機器に映し出すという技術だった。対してインターネットは、こうした映像信号も他のデータも全て「同じ規格」で扱えるところに特徴がある。
「番組表」もなくなる
インターネットの革新性とは、テキストや音声、映像といったあらゆるデータを、TCP/IPという同一の通信プロトコルで扱える点にほかならない。「テレビが大きなスクリーンや巨大なタッチパネル、パソコンと同じものになる」というのは、IPプロトコルで流れてきたデータを映し出すディスプレイになる、という意味なのだ。
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source : 週刊文春 2021年9月2日号