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大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス 投手)「エンゼルスのファンも球団の雰囲気も好きです。でも、それ以上に勝ちたい気持ちが強い」|鷲田康

野球の言葉学 第590回 

鷲田 康
エンタメ 社会 スポーツ

 メジャーリーグは10月3日(日本時間同4日)にレギュラーシーズンの全日程を終了。ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手(27)の最終成績は46本塁打、9勝2敗で本塁打王も、ベーブ・ルース以来の2桁本塁打と2桁勝利も逃したものの、実質的にはルースをはるかに越える成績で、MVP獲得はほぼ確実。メジャーリーグに新しい歴史を刻むシーズンとなった。

最終戦でキャリア初の100打点に到達した

 その大谷の去就を巡って、水面下の動きが激しくなってきているという。

 きっかけは投手として最後の登板となった、9月26日(同27日)の試合後の会見だった。

 この試合では先発して7回1失点と好投したが、味方の援護に恵まれずに10勝目を手に入れられなかった。7回にマウンドで同点打を許し、直後の攻撃でも打席が回らぬままに交代。ベンチで珍しくバットを叩きつけて怒りを爆発させての試合後の会見だった。そこで飛び出したのがこんな言葉学である。

「エンゼルスのファンも球団の雰囲気も好きです。でも、それ以上に勝ちたい気持ちが強い」

 7年連続でポストシーズン進出を逃すチームへの不満ともとれるこの言葉学に、ジョー・マドン監督を含めたチーム関係者は火消しに躍起となったが、実際問題として、大谷の移籍の可能性はあるのだろうか。

「早ければ来年のオフにトレードの可能性もあると思います」

 こう語るのはスポーツ紙のメジャー担当デスクだ。

 大谷とエンゼルスの契約は2023年まで。年俸調停の権利を得た昨オフに2年総額850万ドル(約9億4000万円)で再契約し、来オフにもう一度、残り1年の契約を結び直す。そうして晴れて23年オフに、フリーエージェントの権利を獲得することになる。

「ただ、同僚のマイク・トラウト外野手は、フリーエージェントの権利を獲得する2年前に12年総額4億2650万ドル(約473億円)という破格の契約を結んでいて、エンゼルスはこのオフには水面下で大谷との残留交渉に入るはず。そのタイミングであの発言です。もちろん本人にその意図はないでしょうが、球団にとってはかなり強烈な先制パンチだったと思います」(同前)

大谷から三行半の可能性

 しかもあの発言で、エンゼルスは重大なジレンマを抱えることになったと、このデスクは指摘する。

 大谷の希望するようなポストシーズンを争えるチームにするためには、投手陣を中心にかなりの大型補強が求められる。ただ、もともとエンゼルスは贅沢税を回避する方針で、年俸総額には縛りがある。そこで補強に金をかければ、大谷との契約資金がどんどん目減りしてしまうということだ。

 もちろん球団の最大目標は大谷残留で、これまでなら補強を諦めても大谷の再契約資金を確保してきた。しかしあの発言で、このままの弱小チームでは、大谷の方からチームに三行半を突きつけられる可能性も出てきている、ということである。

「このオフから1年かけて水面下での交渉となると思いますが、来季も大谷が活躍すれば、とんでもない契約になるのは確実。引き留めが難しいと判断したら、来オフにもトレードに出して、若手のプロスペクト(有望株)を獲得する可能性もあると思います」(同前)

 まずはこのオフにエンゼルスがどんな補強を行うのか? そこからが大谷残留交渉のスタートになるのかもしれない。

最優秀監督賞を3度獲得しているマドン監督

source : 週刊文春 2021年10月14日号

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