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第591回 栗山英樹(北海道日本ハムファイターズ 監督)「野球の世界では、やるも辞めるも毎年あること。自分の心の中では色んなことをもちろん考えている」

野球の言葉学

鷲田 康
エンタメ 社会 スポーツ

 球界に人事の季節がやってきた。まずスポーツ紙を賑わしたのは日本ハム・栗山英樹監督(60)、西武・辻発彦監督(62)、中日・与田剛監督(55)の退任報道だった。

2016年にはチームを日本一に導いた

「就任10年目の栗山監督は、本来なら昨季限りで日本代表・稲葉篤紀前監督(49)に禅譲するのが既定路線でしたが、東京五輪の1年延期で予定が狂ってしまった。今季は中田翔内野手の暴力事件などもあり、チームのガバナンスもガタガタ。側から見ていても疲れ切った様子で可哀想でしたね」(スポーツ紙遊軍記者)

 西武の辻監督は2018年と19年にリーグ連覇したが、いずれもクライマックスシリーズでソフトバンクに敗退。今季は進退をかけたシーズンだったが、早々に優勝戦線から脱落して退任が決まった。こちらも後任は既定路線通りに松井稼頭央2軍監督(45)の昇格で確定的だ。一方の中日・与田監督は、今季も開幕から低空飛行が続いてBクラスが確定的。成績不振の責任をとる形での退任となる。

「中日の後任はいよいよ立浪和義新監督(52)の誕生が有力視されています。立浪さんはこれまでも度々、監督待望論がありましたが、白井文吾前オーナーとの折り合いが悪く実現しなかった。しかし昨年の3月で白井前オーナーが退任し、大島宇一郎オーナーが就任したことで、ようやく立浪さんの就任にも障害がなくなったと言われています。ただ監督に就任すれば、過去の素行問題等を蒸し返される恐れもあって、その点を心配する声は中日新聞グループ内に根強い。最終決定までには、まだまだ紆余曲折がありそうな雰囲気が残っていますね」(同前)

驚きの工藤退任

 それでもこの3チームの監督交代は、予想の範疇と言えば予想の範疇だった。それに比べて周囲をアッと驚かせたのは、ソフトバンク・工藤公康監督(58)の退任報道である。同監督の退任は、10月10日付の地元紙・西日本新聞のスクープだった。

Bクラスに落ちたことはなかった工藤監督

 工藤監督は今季で就任7年目。昨年までの6年間でリーグ優勝は3回ながら、ポストシーズンで無類の強さを発揮し、五度の日本一に輝いた。だが今季はエース・千賀滉大投手の出遅れや外国人選手が次々に戦線離脱するなどのアクシデントもあり、ポストシーズン進出も風前の灯。球団は続投要請をしたが、成績不振の責任をとって、本人が退任を申し出たとのことだ。

「今季はOBで日本代表の小久保裕紀元監督(50)をヘッドコーチに迎えて、世代交代への準備期間に入っていたのは確かです。ただ2人の野球観の違いは、シーズン中から指摘されていました。工藤監督はとにかく、勝つためには選手は駒で感情をあまり挟まない。一方の小久保コーチは、選手の気持ちやプライドを尊重するタイプで、選手起用などチームマネジメントは水と油。それがうまく作用すれば良かったのですが、どうにも噛み合わず、それでも次期監督候補として小久保コーチを引き立てる球団に、工藤監督がケツを捲ったという話も伝わってきています」(スポーツ紙デスク)

 まだまだこちらも後任選びは予断を許さないかもしれないが、いずれにしても勝てば官軍、負ければ賊軍で、結果次第ですぐさま進退を問われるのが、プロ野球の監督の常だ。

「野球の世界では、やるも辞めるも毎年あること。自分の心の中では色んなことをもちろん考えている」

 栗山監督のこの言葉学は、どの監督もが常に胸に秘める思いなのである。

source : 週刊文春 2021年10月21日号

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