何か「眞子さま問題」については、何をどう言っても「ちがう! そこじゃないんだ問題は!」と怒っている人が湧いてくる。
ネットの「眞子さま問題」はわりととんでもないところに到達していて、小室さんのイジメ問題やお母さんの借金問題などすでに小ネタ。小室さんの米国留学も、NYの弁護士事務所就職も、すべて脱法の裏口でありそこには皇室の闇資金が動いており、眞子さまのPTSDは「詐病」、さらに「秋篠宮の実父は誰か」だって(何を言ってるのかわかってるのか)。こんなネットの阿片窟みたいなのは現実世界に出てこれないだろうと思ってたら、行きつけの居酒屋の大将が「実は……」と小室関係陰謀論を説き出したから暗い気持ちに陥った。私が最近ハマっている「刑事とヤクザがレイプから恋愛関係になりシチリアマフィアを壊滅」みたいな世界が展開されるBL小説ならともかく、現実でそんなこと言われても。
ワイドショーの「眞子さま問題」の扱いは、こういう状況にとってどう作用しているのか。
どこの局もさすがに「裏口裏金」「反社との関係」(そういうのも言われてるのだ!)だのは話題に出てこない。当たり前だ。主に、「お幸せになってほしい」「きちんと説明をしてほしいですネ」「元婚約者の方の代理人によれば」「国民の税金で」「いい加減そっとしておいてさしあげたら」「でもきちんと説明」「でもお幸せに」などのコメントを順不同に出して終わる。
そうすると番組中からネットで「何もわかってない」「反日の手先が愚民を騙しにかかっている」などと噴き上がる。
しかしなー、上に挙げた「いい加減そっとしておいてあげたら」は『ミヤネ屋』における森永卓郎のコメントで、「いいこと言うじゃん」と思ったのだがそれを聞いた宮根誠司のリアクションは、「んー(と何も言わず次のコメンテーターの発言を促す)」だ。これ、「いやいやそっとしとけないでしょう!」と心の中でワクワクしてるだろう。「言わずに何かを語る」って名優みたいだけど、もっと下世話な、人の気持ちをかき乱す表情なんですよ!
ワイドショー界で「ぶっちゃけたこと言いたいけど言えへんねん、けど言いたいねん!」感をもっともわかりやすく出すのが宮根さんであって、これは視聴者に「眞子さまもねえ、おめでたいけどねえ(半笑い)」の気持ちをかきたてる。
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source : 週刊文春 2021年10月14日号