「棋士とパーティー」|杉本昌隆

師匠はつらいよ 第28回

杉本 昌隆
ライフ ライフスタイル

 秋の式典、内定式などの多い季節である。重要な任務を受ける「就位する」などという言葉もよく聞く。

 棋界の「就位」といえばタイトルの就位式が思い浮かぶ。

 タイトル戦番勝負で勝利した棋士。よくこんなコメントを聞く。

「まだ(勝利の)実感がわかなくて……」

 勝負が終わった直後、極限状態から急に気持ちを切り替えるのは難しいのだ。

 1年間戦って勝ち残った証がタイトル。防衛であれ奪取であれ、その重みをしみじみ実感するのが就位式なのである。

 主催社代表やスポンサーの方々が並び、将棋連盟会長から就位状が授与される。主役の棋士は紋付袴などの正装。家族や親戚が見守る中、皆で祝福するのだ。

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source : 週刊文春 2021年11月11日号

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