暗号化された取引データの処理や記録を分散化するブロックチェーン――この言葉を聞く時、多くの人たちがまず頭に思い浮かべるのは、暗号資産のビットコインだろう。
僕もこの暗号資産が世の中に普及し始めた際は、「すごいものが出てきたぞ」と本当に大きな衝撃を受けたものだった。
ビットコインはその歴史を見ると、2008年に「Satoshi Nakamoto」と名乗る人物の書いた論文から始まったとされる。
その人物や開発経緯がどういうものかは僕には分からない。でも、誰が作ったのかも明確ではないにもかかわらず、ブロックチェーンを基幹技術とした暗号資産が確かに登場し、それが国際的な通貨として実際に広く利用され始めている――。そうした事態が現実のものになったのを見て、まさしく「新しい金(ゴールド)」が出てきたのだと思った。
これまで「通貨」の世界において、ドルや円、ユーロといった主要通貨に対抗できるのは金(ゴールド)、あるいは一部の商品だけだった。それだけにブロックチェーンによる暗号資産の登場には、長く続いた国際金融の世界の常識を根底から覆すような可能性とインパクトを感じたのだ。
ビットコインと同じロジックを応用すれば、国家も民間も同じようにプリンティング(印刷)によらない通貨の発行ができるようになる。その時、これまでの「日本円」や「米国ドル」といった概念は、理論的にはもはや必要なくなるに違いない。
つまり、ビットコインという新しい暗号資産は、これまで「国家」が独占的に持っていた貨幣発行という権力が、インターネット世界の側へと移っていくという「未来」を象徴的に表していたのである。
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source : 週刊文春 2021年11月11日号