アメリカのシリコンバレーに長く滞在していた時、日常で使用する電気を巡る環境は、日本と大きく異なっていたものの一つだった。
2016年に電力小売市場が自由化されて以来、日本でも、アメリカと同じように電気を購入する会社を選べるようになった。
ところが、普段日本の家で生活を送っているとあまり意識しないかもしれないが、実は日本とアメリカでは電気料金が大幅に違う。州によっても価格差があるが、産業用電力は日本の3分の1程度、一般家庭向けは2分の1程度となっている。
なぜ、そこまで大きな差が出るのか。その理由は、必ずしも石油やLNGなどの資源を彼らが持っているからではない。例えば、原油高によって、現在のアメリカでのガソリン価格は1ガロン=4ドルほどとされる。1リットルに換算すれば、日本円で120円から130円程度だが、為替の影響を差し引けば、電気料金ほど大きな差があるわけではない。
では、何が差を生み出すのか。
アメリカと日本で決定的に違う点は、アメリカでは、「発電」「送電」「小売」の三つがしっかりと分離されていることだ。
電気料金の価格に大きな影響を与えるのは、実は発電そのものにかかるコストだけではない。電力を需要家(供給を受ける利用者)まで託送する送電コストや電力会社が行っている販売業務、送電網の管理業務といった経費、いわゆる販管費が電気料金の大きな割合を占めている。
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source : 週刊文春 2021年12月23日号