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なぜ小山田圭吾はイジメ発言をしたのか? 加害性の否定と無意識のサービス精神

検証ルポ「小山田圭吾事件」#4

中原 一歩
ニュース 社会 音楽

※連載第1回(「コーネリアス」にも「渋谷系」にも興味がない私が小山田圭吾にインタビューした理由)から読む

なぜ訂正を申し入れなかったのか

 インタビューが行われたのは小山田氏側が指定した都内某所の弁護士事務所だった。当日は冷たい雨が降っていた。

 こちらは私と文春の編集者。「週刊文春」というだけで相当警戒されていたに違いない。指定された時間に弁護士事務所を訪ねると、まず小部屋に通され、担当の弁護士からインタビューに臨む小山田氏の様子などを説明された。芸能人やミュージシャンなどの所属事務所に雇われた弁護士は、やや上から目線で高圧的な態度を取る場合が多い。中には「お手柔らかにお願いします」と妙に下手に出てくる弁護士もいるが、稀だ。その点、小山田氏の弁護士は淡々としていて、「小山田は緊張していますが、どうぞ存分にやってください」といった具合で、特段「これはNG」などと事前に暗黙のルールが通達されることもなかった。

 インタビューのために用意された部屋には5、6人が向かい合って座ることができるソファーがあった。私と編集者が先に座ると小山田氏が後を追いかけるようにして座った。事務所のマネージャー、顧問弁護士が脇に控える格好だった。

 この日のために準備した小山田氏関連の資料を重ねると、その厚さはおよそ8センチにも積み上がった。当該記事の他、雑誌に掲載されたインタビュー記事がほとんどだった。インタビューは「最近どのような生活をしているのか」という質問から始まった。小山田氏は緊張していたが、受け答えの口調はしっかりしていた。

 

 それにしても解せないことがあった。

 小山田氏が、当該雑誌に掲載された自身のインタビューについて事実と異なると認識していたのであれば、なぜもっと早い段階で編集部に訂正を申し入れなかったのか、ということである。この日のインタビューは、最終的に2時間に及んだが、私がもっとも時間を割いたのはその点だった。

 詳しくは本連載の1回~3回を参照してほしいが、簡単におさらいをしておく。問題となっていたのは、小山田氏のいじめの加害行為である。本人は何が事実で、何が事実でないと主張しているのか。炎上の発端となったエピソードはいくつかあるが、そもそもこれらは小学時代、中学時代の出来事が混在、誇張されて表現されていた。

 例えば、もっとも拡散されている「裸にしてグルグルまきにして、オナニーさせた」という部分については、小山田氏は次のように説明した。本人が直接、手を下したのではなく、「自慰行為に関しては、中学の修学旅行のときのことでした。留年して同じクラスだった上級生と、僕は一緒の部屋でした。友だち数人とプロレスごっこをしていると、そこにその上級生が部屋に入ってきて、同級生の一人を裸にしたり、紐で縛ったり、自慰行為を強要したのです。行き過ぎた行為でしたが、怖くて止めることができず、傍観者になってしまったことがありました」。

 また、「ウンコを喰わしたりさ」の部分は、小学校時代の思い出だ。小山田氏によると、「小学校の頃、何でも落ちているものを口にしてしまう同級生がいました。枯葉とか蟻んことか。その彼が下校している時に、道に落ちていた犬のウンコを食べて、ぺっと吐き出して、それをみんなで見て笑っていたという話をしたんです」。

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source : 週刊文春

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