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米軍「乱痴気現場ルポ」今夜も横須賀は燃えていた

「週刊文春」編集部
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「イェーイ、ホォー!」

 1月9日夜、神奈川県の米海軍横須賀基地からほど近いクラブ。ヒップホップの重低音とともに、叫び声が路上にまで漏れ響く。一瞬開いた黒いドアの向こう側では、複数の外国人男女が踊り狂っていた――。

 社会部記者が語る。

 「沖縄県や山口県などで、在日米軍基地の大規模なクラスターを起点に新型コロナの市中感染が広がっています。横須賀基地でも、1月7日までに245人の感染が判明しています」

 横須賀市は小誌の取材に「市内への感染は広がっていない」と説明するが、基地では空港検疫以外で判明した感染者が急増。そこから染み出すようにして、1月5日までは0〜3人だった市内の感染者数も、10日には24人まで増えた。

米海軍の横須賀基地

 1月9日の基地周辺。今や観光地にもなった「どぶ板通り」を中心に、米軍関係者向けの飲食店が軒を連ねる。横須賀の米軍では、5日からレストランの利用がテイクアウトのみに制限されたはずだが、マスクをせずにダーツバーに入店する男性など、私服姿の外国人が目立った。バーの1軒では、ヘッドホンをつけた白人男性がグラスを傾けている。店長によると、

「あの人も米軍関係者ですよ。日曜日だから少ないけど、昨日はもっと来ていた。コロナ禍以前は店の前が人でごった返し、米兵同士の喧嘩もよくありましたね」

 その後も2〜3人の外国人グループが複数来店した。

米兵が集う横須賀「どぶ板通り」のバー

 18時頃、冒頭の“乱痴気騒ぎ”が繰り広げられていたのは「米軍関係者が通っている」(別の店主)というクラブだ。外のベンチでタバコを吸う男性もいた。

 20時頃に入店すると、白人男性がカラオケでレゲエソングを熱唱していた。それに合わせ、狭いスペースで四人の男女が身体を揺らしている。もちろんノーマスクだ。奥のソファにも外国人の男女が三人ほど腰掛けていた。店には水タバコの器具が2つ置かれ、客の間で共有されていた。

 バーカウンターの中にいた50代くらいの店主は、

「オレはヴェネツィア出身。米兵? 今も来ているよ」

 こともなげにそう言うと、自家製カクテルだという赤い液体を瓶から注ぎ、記者に勧めるのだった。

 感染が深刻化する中、日米両政府は1月10日から全国の在日米軍関係者の外出制限で合意したが、遅きに失したとの指摘が相次ぐ。

玉城沖縄県知事は米軍に「怒りを覚える」

 米海兵隊基地キャンプ・ハンセンを抱える沖縄県金武町(きんちょう)。基地周辺の繁華街「新開地」のスタンドバーで、マスクを着けずに飲み歩き、路上で歌い出す米兵に住民は不安を抱いてきた。吉田勝廣・元金武町長の話。

「11月末頃は200名ほどの新たな米兵が来るタイミング。飛行機で嘉手納基地にきて、検査もなしに入ってくる。タコライスのテイクアウト店やスーパーでの買い物時もマスクをしない。ビーチや呑み屋など、軍用バスで県内各地に行く。感染拡大は時間の問題でした」

嘉手納基地近くでたむろする米軍関係者

 山口県の米軍岩国基地でもクラスターが発生し、隣の広島県における感染拡大まで引き起こした。田村順玄・元岩国市議が語る。

「岩国の米兵は、山陽本線に乗って広島まで遊びに行くからそれも当然です。電車は3〜4両編成ですが、それぞれ10人ほど米兵が乗っていて、週末は22時頃まで占領状態の時もあります。若い女性は利用を控えるほどです」

 前出の吉田元町長はいち早く対策を沖縄県に提言。基地内でクラスターが発生し、県も12月21日に米軍関係者の外出禁止を日米両政府に求めた。しかし動きは鈍く、金武町ではクリスマスも深夜まで米兵のどんちゃん騒ぎが続いた。

「米兵はほとんどが20歳前後で、遊び盛りなので、無理もない。だからこそ、日本政府は早期に日米合同委員会を開催し、米軍の外出禁止を迅速に求めるべきでした」(前出・吉田氏)

 対応の遅れが招いたのは、感染拡大というあまりに大きな代償だった。

source : 週刊文春 2022年1月20日号

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