先日、弊社サロンに、70代と50代の母娘がメイクレッスンに来られました。お顔周りを拝見した後、70代のお母様は完全な白髪だったので、それに合わせた華やかメイクに。50代のお嬢様は少し頭頂部の髪が少なくなられていたので「まず髪を触らせて頂いてよろしいですか?」とお伝えし、ハーフアップ(通称くるりんぱ)にして頭頂部を盛り、厚みのある斜め前髪に。そしたらナント、それだけで目元もキリッと上がり10歳は若く見え、お母様もビックリ! もちろんメイクレッスンも行いましたが、ヘアスタイルだけでもかなり若々しくなり、笑顔で「何だか明るい服もいけるような気がしてきたわ! このままお買い物行っちゃおう!」とおっしゃるまでになりました。

 50代は「髪の過渡期」。少し手を加える事も必要です。若い方でも、薄毛に見える事で実際よりも年齢が上のように感じたり、若々しい服が似合わないと諦めていたりすることが多く、勿体ないと感じます。

 ヘアアレンジが苦手で、髪は左右に分けて垂らすのみ、という方がいらっしゃいますが、そうすると髪の重みで頭頂部が潰れてしまいます。また、奥まで真っすぐ分け目を作ると、髪が少なく見えてしまうことも。ジグザグに分け目を作ったり、たまには合わせ鏡をして、後ろからのご自分の姿もチェックしたいですね。

 前髪を斜めにしたのは、顔には左右差があり、コンパクトな目の方に前髪を垂らすと目力がアップするから。コレ、おススメです。

「歳を重ねて黒髪・黒い服が似合わなくなった」という話もよく聞きます。写真撮影時に使うレフ板の白がクマ・シミ・シワをとばしてくれるとしたら、黒い髪や服はその逆で、彫りを深く見せ、黒い部分を目立たせます。そのせいでやつれて見えたり老けて見えたりするというわけなので、顔の近くに黒をもってくるなら、黒に負けないメイクが必要になります。

 弊社では「美容院同行」というサービスで最適なヘアスタイルを提案しています。ロングヘアの方をショートボブヘアにする事も多いのですが、それは髪を短くすることで等身が上がったり、頭頂部をふんわりさせやすいということに加えて、髪のインパクトをコントロールするという理由もあります。

 ロングヘアのインパクトは、思った以上に強いのです。巻き髪ロングは、どれだけカジュアルなものを着てもエレガント度が高いまま。逆に、ショートボブヘアやまとめ髪にすると、女性性の高い、いつもならやり過ぎと思うドレスがいい塩梅で着られます。また、グレーヘアや明るい髪色、ウェービーヘアなどにしても髪のインパクトが下がって、お年を重ねても黒を優しく着られたりします。

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source : 週刊文春 2022年3月10日号