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 最近、自分の生き方をシフトしている。去年までは1ミリも考えたことのなかったお金の使い方を意識したり、社会性を身につけようと思い始めた。

 そのきっかけはいくつもある。決定的だったのは昨年ナレーションを担当した番組(「まいにち養老先生、ときどき…『2021 夏』」NHK BSプレミアム)で出逢った、解剖学者の養老孟司先生のこの言葉。

〈人の体は自然に属する、アマゾンのジャングルみたいなもの。人間が頭の中で考えることができる世界と、自然との接点で、常に問題は起こる〉

 そうか、だから体の中の内なる自然と、世界=社会の間で問題が起こるんだって、すごく腑に落ちて、今の自分の指針になっている。

 これまでの私は仕事の選び方も、お金の使い方も今の自分が満足することが一番の「今を生きる」モード。読む本も小説ばかりで、精神世界にどっぷりつかる一方で、社会に対して疑問やいらだちを抱えてきた。自分は感受性が豊かなのが強みだからと、世間や社会となじむことをないがしろにしてきたと言っていいかもしれない。

 仕事の話でいえば、ここ数年、お芝居の鍛錬をずっと重ねて、自分がやりたい表現ができるようになってきた。でも、スタッフさんとのコミュニケーションや、現場の空気が、お芝居に影響を与えることが多いと感じている。

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source : 週刊文春 2022年3月17日号