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「同じ感性を持っていた」|テリー伊藤

ナンシー関と私

「週刊文春」編集部
エンタメ 芸能

(てりーいとう 1949年、東京都生まれ。演出家、タレント。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」「ねるとん紅鯨団」「浅草橋ヤング洋品店」などのテレビ番組の企画・総合演出を担当。近著に『老後論』など。)

 

 亡くなって20年。それだけ経ったんですね。今でもときどき思い出します。

 ナンシーさんの厳しくも本質を突いた評論は、テレビ業界の人たちも評価していたと思います。ボクが総合演出していた「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(日本テレビ系)や「浅草橋ヤング洋品店」(テレビ東京系)についても書いてくれて、嬉しかったですね。

 ボクは、24時間365日、ずーっとお笑いのことしか考えていなかった。もうハチャメチャやっていて、だんだんと世間の常識から乖離していたんです。番組の会議でも周りの人がついてこられないくらいだった。

 例えば、ボクが面白いと思って起用したのは、杉山治夫社長。借金を返せなければ腎臓を売れと言って“サラ金の取り立て王”としてワイドショーを賑わせていた人物です。日曜のゴールデンタイムの「浅ヤン」で、彼が日本刀でタレントのミッキー安川に襲いかかろうとしたところまでを放送しました。第2弾も用意していたんですが、局の上層部からストップがかかり、放送していません。

 その番組を、ナンシーさんは「出色の出来で、ドキドキするほどおもしろかった」「杉山社長をもっと見たいなあ。悪趣味も極めれば見ものである」と書いてくれたんです。

 ナンシーさんをライバルと言ったらおかしいですけど、そのコラムを読んで、自分がやっていることはそんなに間違っていないんだな、と。

 ナンシーさんは番組を制作する人の思いをわかっていたと思います。ただ、あくまでも“偉大なる評論家”です。

 ボクらは番組を毎週つくらなくてはいけないわけで、批評するのとはレベルが全く違う。朝早くからロケ現場に行って、夜は寝ないで編集をして、次の日に会議をやって、みんな頑張って制作しているのに、放送されるのは1時間だけ。

 一方で、批判するのは簡単です。今はネットで“ミニナンシー関”が溢れています。ナンシーさんほどの洞察力も知識もないのに、とにかくケチをつける。みんな「最近のテレビはつまらない」と言いますね。そもそも楽しもうとはしていないんです。

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source : 週刊文春 2022年5月5・12日号

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